第18章 秘密の抜け道(裏:謙信、信長)
(その声も・・・安土に戻ってからも夢に見る・・・)
「っ・・」
名前を呼ぼうと、薄く唇を開いたのを見計らったように重なる唇
逃げることを許さないとでもいうかのように、追われる舌、暴かれる口内
「んっ・・っ」
向かい合ったまま
湖は、立ち膝のままでいたが執拗な口づけに耐えられなくなったように腰を落とす
同時に、背中に手を当てられそのまま畳へと押し倒される
(謙信・・・さま・・・)
畳にたおされれ、離れた口元を見つめていれば、優しい手つきで顔に掛かった髪を払われた
「け、んしん・・さま・・」
「・・・ああ」
ようやく名を呼べれば、呼ばれた当人は甘い笑みを浮かべている
「何も考えず、その身を俺に寄越せ」
はぁ・・と、熱い息が掛かる
「・・・はい」
湖は答えるように、謙信の頬に手を添えた
荒い息の湖が、続けて口を開く
「はい・・・謙信さま」
涙が頬を伝った
湖の指が、謙信の頬を撫でる
その優しい瞳を見つめて、ぽつりぽつりと話はじめた
「最初は・・・怖い人だと思っていました」
(あの長屋で着物を破かれた時に・・・)
「次にお会いしたときには、守ってくれましたね・・・」
(オルゴールの爆発から、私を庇ってくれた)
にこりと笑う湖
「その次は・・・」
「我が城だな・・・」
(私が・・・謙信様に恋した時です・・・)
ちぅ・・・
口づけの音と、荒い息が部屋に響く
「・・・好き・・・」
口づけの合間に、零れる湖の声
「け、・・・んしん・・・さ、ま・・・ぁん・・」
頬に添えられていた手がいつの間にか首に巻かれる
わずかに湖に体重を乗せ、謙信は覆い被さりその唇を堪能する
「・・・黙れ」
湖の香り、その肌を暴く毎に強く感じる
帯に手を掛けるとわずかに腰を持ち上げ、器用にそれを解く
緩んだ帯が足もとへとずらされ、それと共に下帯や合わせも素早く解かれた
「ぅん・・・っ」
角度を変え、口内を侵し続ければ湖もそれを求めるように近づいてくる
謙信は一度上半身を持ち上げ、着物の袷を開く
そこから除くのは、鍛えられ締まった胸板
(この人が・・好き・・・)