第18章 秘密の抜け道(裏:謙信、信長)
これより数刻さかのぼり・・・
湖が、しんたに乗馬を教えているころ
政宗から、湖の動向を聞き、良い退屈しのぎだと信長は口角を上げ城を歩いていた
行き先は、湖の部屋だ
(政宗が、目をつけいるにもかかわらず姿を消した・・・何か、仕掛けがあるだろう・・・)
湖の部屋を見渡すと、木の葉が一枚落ちているのに気づく
「・・・この葉は・・・」
庭を思い浮かべ、この葉のある場所を考える
「あそこか・・・」
思い当たる場所があり、部屋を出ようとすれば光秀が信長を追ってきていた
「ここにいましたか。報告を」
「わざわざ追ってきたんだ・・・何か特別な事でもあったか?」
「は。城下に、上杉と武田の両名の姿を押さえています。他に二名」
「・・・」
少し考えるように間を置いた後、信長は「解った」とだけ答えた
「いかがしましょうか」
「光秀、三成を連れて追ってこい。他に・・・」
信長が出す指示に、光秀は目を見開いたが、すぐに怪しい笑みを浮かべ下がった
その後、信長は湖の部屋から少し離れた人少ない庭を訪れ、先ほどの木の葉と同じ葉のある木の前に進む
背丈の低い木が茂ったそこは、獣道のように人が歩いた形跡があった
狭いその道をかき分けて進めば、そこにあったのは一部だけ枯れ葉が積もっている場所
その場にしゃがみ、葉を散らそうとするが、それは何かに固定されたように動かない
探るように手を沈めると、紐が指先に触る
「これか」
ぐんと、その紐を引けば蓋のようなものが取れ、地面に穴が開いてある
そこには登り降りするための縄はしごもある
信長は、それを伝って降りようとすれば、少し下がったところで目の前に光る物を見つけた
植物のようなそれを指に摘まめば、淡い光りがかすかに灯る
「・・・ほぅ」
ひとつかみ、それを取り握ると光りが少し強くなる
「なるほどな。このような植物があるのか・・・これならば、湖でも暗い道が進めるか」
頭上の蓋を閉めても、少し先まで光りが灯り、縄を伝って降りた先にも同様の植物が置いてあった
再度、それを手に取り灯を繋ぐ
狭い道だが、男の身体でも十分に進めた
等間隔に置いてある植物で灯も取れ、暗闇になることのない道
進んでいくと、秀吉の御殿近くに出た