第18章 秘密の抜け道(裏:謙信、信長)
「湖、悪いがそれを頭から被って顔を隠すんだ。いいね?」
「は、はい」
状況が理解出来ないまま、信玄に片手をひかれ立ち上げられれば、羽織を頭から被された
「謙信」
「解っている」
謙信は、一言返事をすれば刀を片手に立ち上がる
五人は宿の部屋から出ると、馬を止めてあった場所へと向かう
「ひとまず、国堺に・・・湖さん」
「・・・っごめん、佐助君。袴じゃないから、馬にっ」
(さっきの袴、宿に置いたまま・・・この着物だと跨げない。足も・・・この足じゃ、走らせられないかも・・・)
「乗れ」
顔の前に出てきた手は謙信の手だ
湖は、謙信を見ると一瞬その目を見つめ、手を取った
「はい」
ぐんっと、身体を引かれ馬上に引き上げられる
「国堺まで戻る必要はない。ここより南に、森があっただろう。そこまで行けばいい」
「謙信様、どうされるつもりですか」
佐助の問いには答えず、謙信は馬をその方角へと走らせた
「謙信さま?」
「・・・お前は、どちらも選べないでいるんだろう」
「・・・っ」