第17章 かごの中の鳥(裏:政宗)
■政宗編 【自分なら・・・】
「湖」
呼ばれて気づいた
既にその人は横に居て、湖が何をしているのかと、しゃがんでのぞき見られていた
「ひゃっ・・・っ?!・・び、びっくりさせないでよ、政宗・・・っ」
鼻先がつきそうな位置に驚き、政宗とは反対側に手を付き身体を反らす湖
「何度呼んでも気づかない奴がわるいだろ・・・で、何考えてんだ?」
「・・・エルマーさんとハンナさんのこと」
苦笑いを見せ湖がポツリと言った
「幸せになれたかな?って・・・」
「・・・さぁな」
政宗は手を付き、湖の横に胡座を掻いて座った
湖は政宗から視線を逸らして、庭を見ながら続ける
「ハンナさんは、きっと一番幸せな時にエルマーさんと引き裂かれたと思うんだ。それも、国から疎まれる形で・・・それでも思い合っていた二人は、すごいと思うの・・・純粋にね」
「・・・そうか・・・」
「ただ、ハンナさんが亡くなってしまって・・・エルマーさんは、頭も気持ちも整理がつかなくて、時間が止まったんだろ思う・・・」
「・・・そうかもな・・・」
少し間を置いて、湖は続けた
「大好きな人と突然引き裂かれて、知らぬ間に亡くなっていて・・・もう会えない。そんな事になったら、時間が止まってしまう・・・それは、なんとなくわかる・・・」
「・・・ふーん・・・」
「でも、もし・・・私が先に去ってしまう立場なら、前に進んで欲しいと思う。幸せになって欲しいって・・・」
「あいつもそう言ってたな」
うんと、湖は頷いた
「だけど、ハンナさんは連れて行った・・・幸せになって欲しいって願っていたのに、エルマーさんを連れて行った」
「・・・・・・」
「・・・私なら、生きて欲しいって思うかな・・・って。実際、その立場に立たないとわからないんだけどね。あ、その前に私、自分が幽霊になるのは嫌かも」
あははっと乾いた笑みを浮かべる湖に、政宗は「そうだな」と返答した
「幸せなんて物は、人それぞれ異なるだろ。願っていた事が、思うとおりに行かない事もある。どうやったら、そいつを救えるか・・・それは考える奴によっても答えが違う」