第16章 かごの中の鳥
「それにしては、謁見中・・・特に湖を見て驚いた様子はありませんでしたね。その後も特に接触はないようだし」
「・・・城に侵入した族が、その公爵だと仮定すれば、城に潜入した時点で湖様に気づいていたのでしょうね。だから、とくに驚きもしなかったのではないでしょうか」
家康に三成
「御館様、失礼します」
戻った光秀が、口を挟む
「何か解ったか?」
「開港している港の奧に停泊中の船に、毎日のように食料を持ち込む者が居ることを確認したとのことです。その量は、あらかじめ報告を受けている人数分よりあきらかに多い様子・・・攫われた女子が、船に捕らわれているとみて間違い無いようです」
「やはり、そこか」
三成が、それを聞き思案するかのように
「しかし、攫われた人数が確認できておりません。港には、三隻停泊。万一、協力者が居た場合を踏まえ、全船出港禁止を出しましょうか・・・」
「それは、貴様に任せる」
「承知いたしました」
秀吉が、信長に問う
「堺に・・・向かいますか?」
「そうせざる得まい。秀吉、家康・・・貴様らに留守を任せる。堺には、光秀、政宗、三成・・・湖を連れて行く」
「御館様、俺も・・・」
「戦に行く訳では無い。堺までさほど距離も無し。異国の者が、我が城に忍び込んだのは事実。城を空けていくわけにはいかん」
「・・・承知しました」
しぶしぶと承知した秀吉の横に、なにか言いたげな家康
「貴様も、意見があるのか・・・家康」
「・・・いえ」
一瞬、間を空け家康は続けた
「言ったところで変わると思いませんので、気をつけて行って下さい」
「・・・貴様にしては、気の利いた言葉だな」
「・・・いちいち絡まないで下さい」
「フン・・・だが、要らぬ心配だ」
「・・・そう言うと思いました」
夜もふけり、彼らは各御所へ戻り明日の準備をすることとなった
早急にと、堺へは明日移動と決まったのだ
鈴になってしまった湖は、信長に預けられそのまま天主で朝を迎えるのであった