第16章 かごの中の鳥
(ちょっっと、待って・・・今、とりつかれたって・・・)
「え・・・」
周りを見れば、視線が自分に来ているのは解る
(もしかして・・)
「私・・・何かした?その・・・もしかして、取り憑かれた人間って・・・」
「湖様です」
「っ・・・?!」
瞬時に、血の気が無くなった湖を三成は支えるように話を聞かせてくれた
「・・・全く覚えがないよ・・・本当に私が言ったの?「借りる」とか「やることがある」とか・・・」
苦笑する三成に変わって、家康が答えた
「あんた・・・というより、状況からしてさっきの女だろうね」
(さっきの・・・王女さま・・・)
「あの装飾を耳にはめてそうなったんだ。身につけなきゃ無害だろう」
政宗が光秀の所持するイヤリングの事を言った
「お前は、本当に何でも引寄せるんだな・・・」
感心したようにいう秀吉に、光秀がイヤリングを懐にしまいながら
「御館様のいう才能というやつか?だとすれば、ずいぶん厄介な才だ・・・」
「退屈しないな」
ははっと笑う政宗
(なんでしょう・・・私も頭が付いて行けない・・・もう・・・)
そう思ったと同時に、目が霞む
「あ・・・」
三成が気づいた時には、畳に着物が落ち、その着物の中央から膨らみが顔を出す
みゃん
ちりりん・・・
出てきた猫は、ふるふると身体を揺すってから三成の膝に乗りそのまま丸まって寝込もうとする
「・・・鈴様ですね」
「「現実逃避(だな)」」
政宗と家康の声がダブる
「お話中、失礼いたします。光秀様・・・」
襖の外から光秀に声が掛かり、光秀は一時部屋を出た
それを横目で見ながら、信長が息を着いた
「まあ、いい。これで、あの一行に族が居ることも、おそらくあの女の思い人が居ることも確定だろう」
「湖は、しばらくこのままの方が安全かもしれないな」
「だが、こいつがこれを制御できる訳ではないだろ・・・あのハンナという女とうり二つの湖を放っておくことはないだろうな・・・」
秀吉と政宗が、信長に続く