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【イケメン戦国】私と猫と

第16章 かごの中の鳥


抱きついている秀吉の心音が解る
少し早まった心音
いつもより揺れる声

「・・・お前・・・」

政宗は、今出てきた彼女と秀吉に抱きついている湖を見た
また家康も同様
光秀と三成は、事を見逃さぬようにその様子を伺っている

「貴様は誰だ」

ただ一人、信長は違った
出てきた女に向かって声を掛けてたのだ

【・・・私は、海に囲まれた国の王女・・・ハンナ】

口を開いて話をしているわけではない彼女は、信長を横目で見た
だが直ぐに視線を湖に戻す

(どうして・・・)

「・・・同じ・・顔・・・?」

湖が震えながらも声を出す
しがみついた手が汗ばんでるのが解る
秀吉の着物にしがみついたままで、女性を見上げる
その顔は、自分そのものだった
違うのは瞳の色くらい
湖の目は薄い茶色だが、彼女の目は青だ

【・・・どうか、彼を止めて下さい・・・私は、彼に幸せになって欲しい・・・】

「・・・もしかして・・・幽閉されたお姫様・・・ですか?」

にこりと笑った彼女の色が徐々に薄れていく

【彼に伝えて・・・どうか、自由に・・・】

耳にはいる声もどんどんと小さくなる

「ま、待って・・・っ」

とんっ、とん・・・ころん・・・

女性の姿が消えると同時に、イヤリングが落ち転がった

(・・・ハンナ・・・って言ってた・・・彼って・・・)

「どうやら亡き王女の所持品のようだな。と、いうことは・・・これを持っていた侵入者は、話からするに・・・」

光秀はイヤリングに視線を合わせながら呟くように言った

「夫になる予定だった者・・・が、一番あり得るな」

政宗が側に落ちたイヤリングをつまみ上げ、光秀に続いて口を開く

「そのようだな」

信長は面白いとばかりに鼻を鳴らす

「あの一行の中に居たとすれば・・・エルマーという布教師ですね」
「しかいないだろ。黒人と年配は明らかに対象から外れるだろう」

三成と家康

「それにしても・・・そっくりだったな・・・」

未だに離れない湖の背中を撫でながら秀吉が呟く

「うり二つだ」

政宗もそう呟く

「湖?」

自分の着物から手が離れ、湖の体温が離れる
秀吉は、その離れていく湖に呼びかける
だが、返事はない
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