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【イケメン戦国】私と猫と

第16章 かごの中の鳥


「・・・お前は、奇妙な者を惹きつける才があるようだな」

信長はニヤリと口角を上げ、政宗の話を聞いた

「化け猫の次は、幽霊か・・・あんたも飽きないね・・・」

家康はため息を付く

「わ、私だって、こんなの・・っ」

口を開けば泣出しそうな湖を秀吉が慰めるように手を頭に置いた

「よしよし・・・幻覚でも・・・と言いたいが、二人揃ってその本を見ているのなら間違い無いんだろうな」
「私は、そのような本をお持ちしておりませんし・・・」

三成の話を聞きながら、イヤリングにつまみ上げた光秀は「事実なら…」と口を開く

「今の話から推測すれば、この装飾品はその国の物だな。昨日の武器を落とした族も同様に」
「・・・何かを訴える為に、その装飾品が本に形を変え湖様に伝えてきたのでしょうか…」

光秀の持つイヤリングを眺めながら三成がそう言うと
湖が肩を揺らした

「私・・に?どうして?」

全員の視線が湖に集まった
政宗に連れられた際、天主には光秀と家康が居た
政宗、秀吉、湖、それに三成は途中で声を掛けられ、結局全員がこの部屋に揃っていた
わずかな沈黙の後、信長が口を開こうとした際
冷たい空気が人をかき分けるように吹き抜けた

「ひゃっ・・」

湖が抜けていく冷気にわずかな声を上げと、カタカタと貴重が音を立てて小さく揺れ始めた

「っ・・・!」

身を強ばらせた湖は、近くに居た秀吉に抱きつく

「な・・・んだ?」

秀吉は、部屋の異様な気配を感じ取った
それは他の武将も、そして湖も同じだった
青白い薄い光が、光秀の持つイヤリングに吸い込まれるように入る
そして、それは彼の手から離れ
宙に浮いたと思えば、徐々に人影を作っていく

「女か・・・」

信長がその様子を平然と見て居る

異国の服、萌葱色のドレスをまとった女性は腰まである髪を三つ編みに結っていた
そして耳には、あの赤いイヤリングが
女性の姿が、ドレスの装飾が解るくらいにはっきり見えだした頃
彼女はその顔を上げた

湖の心臓が跳ねた

(・・・っ・・)

彼女は、目を開いて湖を見ている
その姿は・・・

「湖」

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