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【イケメン戦国】私と猫と

第16章 かごの中の鳥


政宗との距離の近さに鼓動を走らせ、その顔の前に本を差し挟む
すると、少し距離を取った政宗が本を手に取った

「本?泣くような事が書いてるのか?」

そう言われ、政宗は湖の周りにある異国の文字が書かれた書籍を見渡した

「その本、えっと・・・国の争い事で幽閉されたお姫様が死んでしまうってお話なの」
「ふーん・・・」

さほど興味なさそうに、その本を見る政宗
湖は、幾分か落ち着いた鼓動に安心した
が、目に入った裏表紙に別の理由で鼓動が早まった

「あ・・・」
「どうした?」

裏表紙に見覚えのある鳥の絵が描かれているのだ
政宗に預けた本に手を添え、裏面を彼に見せると
政宗もそれに気づき眉を動かす

「これは・・・」
「・・・これ、あのイヤリングと小刀とおんなじだよね」
「・・・三成が持ってきたのか?」
「うん。でもあの三成くんが、これを見逃す・・・っ‼」
「っ・・・」

政宗と一緒に手を添えていた本が、急に色薄くなり手から重みも消え、本が消えた
そして、ぽとり・・・そんな音を立ててイヤリングがその場に転がり落ちたのだ

「「・・・」」

二人は、まだ手に本を沿えた形のままで言葉を失った
だが、徐々に湖の顔色が変わってくる

「・・・っき・・!!」

ぱしっ・・

湖の口を政宗の手が覆う

「湖、叫ぶな・・・大丈夫だ」

そして湖を引き寄せその身を暖めるように自身の身体に閉じ込めた

「ま、まさ・・むね、ぇ・・」

半泣きで震える湖の背中を擦っていれば、そこに秀吉が顔を出した

「湖、政宗が来てないか?・・・お前、何をしてるんだ?」

座って湖を抱き閉じ込める政宗の姿と
その隙間から見える、ひっく、ひっくと泣き出しそう湖の顔

「政宗・・・お前、返答次第では・・・」
「早まるな、秀吉」

そう言い、転がったイヤリングを手に湖を抱きかかえた政宗は息を吐きながら

「御館様の所へ行くぞ」

と言うのだ

「・・・何があった?」

政宗の腕の中にいる湖はカタカタと震えるばかり

「こいつの苦手な物が出た・・・ってところか?」

疑問系で言われ、ますます顔をしかめた秀吉だったが、政宗と共に信長の天主へと足を進めた
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