第16章 かごの中の鳥
部屋に戻った湖は、楽な着物に着替えると久しぶりに箱からあるものを取り出す
タイムスリップした際に所持していた鞄
そしてその中から、ガイドブックを取り出した
(ううーん・・・こんな薄い雑誌には、やっぱり詳しくはかかれてないか・・・)
気になったのは、戦国時代の異国交流について
(信長さまが、あーゆう人だから・・・いろんな目新しい物を取り入れてるのは解る・・・でも。秀吉さんはあんまりいい印象を持ってなさそうだったな・・・)
ぺらりとめくられるページは、信長についての記載部分
「あ・・」
(やすけ?黒人奴隷・・・ヤスフェさんの名前と似てるけど・・・仲間って言ってたしな・・・)
次のページをめくろうとしていたところで、部屋の外から声が掛かり湖は急ぎ本を終って鞄を箱に戻した
「はい、どうぞ」
入ってきたのは、三成
「どうしたの?三成くん」
「実は、お願いがあって参りました」
「お願い?私で役に立つならもちろん」
すると、部屋に座った三成は持ってきた書物を横に置き湖の方へと押した
見れば、彼がいつも見ている書籍とは異なり、英文などで書かれている本だ
「・・・これは?」
「異国の本です。何冊か所持はしているのですが、仕事片手間で解読出来る時間がなく、もし湖様がよろしければ、お暇な際に内容を教えて頂きたいのです」
「っ・・・!」
唐突な依頼に、湖は頬を染めた
「湖様?」
その様子に気づき、三成が湖の名を呼べば・・・あからさまに嬉しそうな表情を見せる湖
「うん!もちろん・・・!」
「っ・・・」
その表情に目を奪われている三成には気づかず湖は続ける
「嬉しい・・・いつもいつも三成くんには、たくさんお世話になってるから・・・役に立てることが出来て嬉しい」
本に手を伸ばし、一冊づつ横並べにしていく
「あ、でも・・・・ごめんなさい、一部解らない言葉の本もあるみたい・・・これ、何語だろう・・・ん?三成くん??」
一冊、言葉のわからない本を手に持ちながら三成を見れば、彼は口元に片手を置きわずかに頬が染まっている
「あ・・・すみません、もちろん湖様のわかる物だけで結構です。そうして頂けると嬉しいです」