第16章 かごの中の鳥
「あぁ、悪くない。いい土産を持ってきたな」
「それは、良かったです」
飲まない政宗は、湖に同じ茶を渡す
「して・・・湖・・・」
杯を口に運ぶ信長に呼ばれ姿勢を正した湖に、言葉を続けていく
「・・・昨夜の事の事と、先ほどの事・・・詳しく話せ」
「??」
(昨夜の事・・・あの侵入者の事は・・・特には・・・)
首を傾げる湖に、光秀が声をかける
「昨夜の幽霊騒動で何か報告し忘れはないか」
「光秀さん・・・」
「幽霊騒動?なんだそれは?」
「政宗には、あとで教えてやる」
「・・・あ。」
俯いた湖が顔を上げた
「なんだ」
「たぶん何ですけど・・・今日と同じ言葉・・・異国の言葉を話していたと思います・・・でも、幽霊だと思ってパニックになっていたので自信ないんですけど・・・」
「ぱにっく?なんだ、それは?」
聞き慣れない言葉に、今度は秀吉が首を傾げる
「あっ、えっと・・・驚いたってことです」
「・・・おそらく、それで間違い無いだろうな・・・光秀」
「はっ」
信長に呼ばれ、光秀は後ろに置いてあった小刀を出した
「これは、昨夜の侵入者のものだ」
見たこと無い形の刀に、全員が興味を引く
「確かに・・・見たことがない形状だな・・・」
「・・・異国のものが、安土城に侵入とは・・・肝が据わっているな」
「ここに侵入した目的が・・・解りません」
秀吉、政宗、家康はそれぞれの展開をする
「・・・あの一行の訪れた場所で、若い女子ばかりが消息を絶つ・・・だとしたら、この城で対象となる者を探していた・・・とは、考えられないでしょうか?」
「まさか、信長様の目の下で・・・とは思うが、異国人の考えは解らんからな」
三成、光秀も声をだす
(え・・・消息を絶つ?)
三成の話に、ぴくりと反応を見せる湖
「湖様には、お話していませんでしたね。南蛮との交流、流通について安土は他国に比べ自由を効かせております。なので、通常であればあのような謁見は行わないのですが、あの一行に関しては、先ほど話したような報告があり、今日の謁見が行われたのです」
「・・・布教師の男は、人当たりもよく言葉も堪能で行く先々で評判はいいがな。だが、訪れた数日後に、その先の女子が消息を絶っているのは事実」