第16章 かごの中の鳥
(なんか・・・声かけづらい雰囲気・・・)
ちりりん・・・
風に吹かれて、湖の髪飾りが音を鳴らす
すると、エルマーを顔を上げて湖を確認した
『っ姫様・・・』
『あ、ごめんなさい。お邪魔したようで・・・迷われたのかと思って・・・』
気まずそうに返せば、首を振りにこやかに微笑むエルマー
(・・・この人、映画に出てくる俳優さんみたいだな・・・背はそんなに変わらないのに、すごく綺麗ででもちゃんと男らしくて・・・)
『ご心配おかけしてすみません。すこし歩いてみたくなって勝手に歩き回ってしまいました。お許し下さい』
『あ・・・その・・・迷われたので無くて良かったです』
湖の立っていた場所までゆっくりと近づくエルマー
『・・・湖姫様は・・・こちらの血が混ざっているのですね』
『・・・はい。祖母がそうです』
『やはり、信長様はお心が広い・・・異国との混ざりのある者を受け入れるとは・・・あ、すみません。姫様に対しての苦言では・・・』
『いいえ、気にされないで下さい・・・それと、姫様は気恥ずかしいので・・・できれば、湖と呼んだください』
隣にエルマーが来ると、彼はまじまじと湖を見た
『日本国の姫は・・・ずいぶん親近感のある方のようですね・・・』
ぼそっと呟く彼の言葉に、一瞬心臓が跳ねるも焦らずに微笑み返す
『では・・・湖・・・』
『はい、なんですか?』
『失礼ついでに・・・湖はいくつですか?その・・・見た目は、14くらいかとおもったのですが・・・』
(っ・・・?!14・・・や・・・)
あからさまに表情が曇った湖に、エルマーは焦りの表情を見せた
『あ、すみません。女性に年齢を聞くのはマナー違反ですねっ』
『いいえっ、いいんです・・・でも私、これでも24なんです・・・』
『っ・・・2・・4!?』
(恥ずかしい・・・やっぱり追いかけてくるんじゃ無かった・・・すっかりこの着物の事忘れてた)
頬を染めうつ向く湖に、エルマーは焦ったように声をかけた
『いや、失礼しましたっ!見た目が・・・』
『いいんです・・・今日のこの格好は、自業自得の所がありまして・・・それより、私も寝ぼけままに失礼しました』