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【イケメン戦国】私と猫と

第16章 かごの中の鳥


「男性でいう元服、成人になったという女性の儀式名です」
「こら、三成!余計なことを・・・」
「っ・・・」

これには、湖もむっとして眉をしかめる
端から見れば、濃い朱色の着物に黄金刺繍の入った緑の帯
そして、いつもの髪飾り
確かに子どもっぽさは感じられるが・・・成人前はおかしい・・・そう思い、眉をしかめたのだ

「着替えてきます!」

ふてくされて、部屋を出て行く湖に信長が声を掛ける

「湖、後ほど来い。昨夜の話、聞きたいことがある」

気分は、無視して舌でも出したいが・・・そんな事をすれば、更に童扱いされるに決まっている
湖は、一礼し部屋を出て行った

「して・・・光秀」
「はっ・・・、昨夜の族ですが、残された形跡からして国内のものではありませんでした。使われていた短剣からしても、国のものでは無いと思われます」

光秀から懐から出したのは、湖が付けられたイヤリングと同じ紋章の入った小刀だった

「これは?」
「昨夜の族と、俺の配下の者が出くわした折りにな」

家康は、光秀の回答を聞くとその刀を見る

「確かに・・・このような作りのものは見たことがない・・・」

持ち手に鳥の装飾、刃はわん曲したように曲がっている

「それと・・・先ほどの一行ですが、行く先で若い女が数人消えています」
「なんだと・・・」

今度は秀吉が反応を示す

「安土に着くまでの経路の村々で、若い女ばかり消息不明になっていた」
「っ・・・、信長様、あいつらを連れ戻し即刻・・・」
「焦るな、猿。今、問いただしても何も出てこない」

秀吉が、ギリリと歯を擦る



一方、部屋を飛び出した湖は自室に向かう途中で、さきほど湖に質問をしてきたエルマーを見つけた

(あれ・・さっきの・・・)

彼は一人で、昨夜湖が居た池の方へと向かおうとしていた

(・・・はぐれちゃったのかな・・・出口おしえてあげなきゃ・・)

『Excuse me, Sir・・・』

声を掛けるも、彼は気づかなかったようで先に進んでいく

「あ、そっちに行くと奧だから出られなくなっちゃうっ」

湖は、慌てて彼の後を追っていく
そして、視界が開けた時・・・
彼は、池の畔にしゃがんでいた
金髪に碧い瞳、どこか寂しげに池を覗き込んでいる
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