• テキストサイズ

【イケメン戦国】私と猫と

第15章 攫われた姫 (裏:政宗、謙信)


幸村は謙信と鈴の方を見て話をしていたが、謙信の行動にぎょっとした様子を見せると、次に起ることを把握し横を向いた
謙信の両手で持ち上げられていたその身体が、何倍もの大きさに変わる
支える重みが変われば、謙信は自分に寄せるように抱き止める
腕の中の人物はまだ頭が回っていないのか、少し呆けた様子だ
佐助と、幸村を背後に湖は謙信に抱きしめられるように抱えられていた
素足の足は、土にはついていない状態だ

「湖」

謙信に呼ばれ、ぴくりと反応を見せるとゆっくり声の方向を見上げる

「け、謙信さま・・・?」
「久しいな」

湖には謙信のこの薄い笑みが今は輝いて見えているようだった

どきんっと鼓動が跳ねる

すぐに両手を謙信の胸につき、距離を取るように突っぱねるがぴくりともしない

「・・・・・・」

一方謙信は、この反応に眉をしかめる

「何のつもりだ」

湖の様子をみれば、首に胸のあたりまで真っ赤に染まりだしている

「は、・・・離してく・・ださいっ・・・」

普通の拒否とは違い、ずいぶんと艶めいた声でそれを発する湖に後ろの二人が反応する

「謙信様、ひとまず湖さんに羽織を」
「そ、そうだっ!目も当てられねぇ・・・し・・・」
「・・・その前に、理由を聞かせろ」

佐助と幸村の助言も聞かずに、謙信は湖と目を合わせようとした
その時には、すでに湖の呼吸は乱れ、向けられた瞳は涙で潤んでいる

「体調でも悪いのか?」

ぶんぶんと、首を振る湖

「では、なぜ離れる」
「い・・・いまは・・・だめなんで・・す・・」

涙が落ちて、呼吸の乱れが酷くなれば湖は辛そうに身体の力を抜いた
いや抜けてしまう

「湖・・・?」

(なんだ、これはまるで・・・)

「ひとまず湖さん、これを」

後ろから佐助が男物の着物を掛けその身を隠した
謙信もその様子に湖を床に下ろす
下ろされた湖は、片手を床に付き、片手を胸に置き息を吐く
その様子に、幸村は赤面し距離を取り、佐助もごくりと唾を飲む様子

「・・・湖、何か飲んだのか?」
/ 1197ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp