第15章 攫われた姫 (裏:政宗、謙信)
安土の武将達は、湖の平和ぼけに当てられたのか・・・そんな思いにふけりながらも、自らまた湖の顔を見たくなる
(ひとまず、湖の部屋を見てみるか・・・)
「面倒くさい・・・」
「そう言いながらも貴様は動くのだから面白い」
ふっと笑うと信長は翻し廊下を歩いて行った
「家康様、何かお手伝いがあれ・・・」
「三成は部屋の片付けでもしてればいい」
「優しいお言葉、ありがとうございます」
うんざりした顔で、家康もまた湖の部屋へと足を進めた
「なんかあったら教えろよー」
政宗は、散らばった書籍を片手に家康に声を掛けていた
湖の部屋に着くと、家康はぐるりと周りを見る
主の居ない部屋は、すっかり湖の香りも消え無機質に感じた
机に書籍が数冊、三成から借りている簡単な書籍だった
(・・・?)
その間に、何かが挟まっているようで
家康は、そこに座るとぱらぱらとめくってそれを確認した
「・・・手紙?」
宛先は、信長宛て
手紙を懐にしまうと、ひとまず先ほど迷惑な仕事を押しつけた本人の元へと向かう
天主へたどり着くと、信長に渡された手紙
控えた家康と秀吉が待っていると・・・
「理解できん」
ふぅとため息交じりに信長が手紙を置いた
「信長様?失礼します」
秀吉がその手紙を手に取り内容を読み上げる
「お願いをします。しばらくの間、鈴が表に出ていると思いますが、無理に私に戻す事はしないようお願いします。勝手なお願いですみません。8日程で元に戻ると思いますので、お許しください。湖」
「元に戻すなと・・・あの女の意図はなんなんだ?」
「湖の考えなんて解りませんよ。ところで、湖について周りにはなんと説明してあるんですか?」
「あぁ、それなら。俺の親戚の家へ手伝いに行っている事にしてある」
手紙をたたみながら、秀吉が家康の問いに答えた
「近い場所という事にしてあるから、急に湖が現れたとしてもごまかせる」
「そうですか・・・手紙からするに、人には戻りたくないという事でしょうね。何か心当たりはないんですか?」
「特に無いな」
「俺もない」
一間置いた後、三人の声が同時に発せられた
「「「ただ(だが)」」」
「六日前の反応はかなり異なった」