第14章 化け猫と私【後日談】 (表:信長・秀吉 裏:他四名)
抱きしめた湖は、さほどたたずに寝付いてしまう
目を開けた三成は、湖の背中を確認するように撫でると、先ほどの事を思いだす
(良かった)
城外での政務を終え御殿へ戻ったのち
湖の様子が気になって、貸した絵巻物の続きを口実に部屋に訪れた
だが、来てみれば部屋は抜け殻
着物が落ちていない所をみれば、猫にかわってしまった訳ではないようだった
湖の行きそうな場所を考え、いくつか回り、もしやと思って書庫の前で立ち止まった
其処に湖を見つけたときの安堵
同時にこみ上げる感情は、小さな怒り
顔をそらすように、書簡を取りに行き落ち着こうと思った
閉じ込めてしまえれば、どんなに安心か
それをしないのは、今の湖が愛おしいから
ころころと誰にでも笑いかけ場を和ませる湖を見るのも、何かを言われて眉をしかめる湖を見るのも、何もかも愛おしくて堪らない
湖の周りには、自分より頼りになり強い武将が居る
そんな中自分を選んでくれた湖が愛おしい
「・・・困った人です」
眠る湖の額に口づけを落とし、三成は彼女を抱きしめ眠りに落ちた
翌朝、薬を持ってきた家康に二人揃って説教される事になるとは思いもせずに