第14章 化け猫と私【後日談】 (表:信長・秀吉 裏:他四名)
身を縮こませれば
「湖様」
(・・・あれ??この声)
顔を上げれば、其処には三成が居た
「みつ、なりくん」
湖は、扉を開けた人物に驚きながらも安心したように息をつく
(びっくりした・・・あ、でも・・・三成くんに会えたのは嬉しい)
そして、薄紅色に染まった頬でその顔を上げれば三成の手に持つ巻物が目に入った
「あ、うっかり忘れる所だった。私、三成くんが持ってきてくれた巻物の続きが気になって」
「それを、探しに来られたのですか」
「うん。寝付けなくて、読んでたら・・先が気になっちゃって」
えへと、笑う湖に三成は気づかれない位のため息を付いた
「あれ・・三成くんは、秀吉さんとお仕事にでてそのまま帰るって言ってたでしょ?」
三成をちゃんと見れば、彼の息が少し上がっているのに気づいた
「・・・ええ。いくつか参考までに記録を確認して置きたくて、ここに来たのです・・・湖は・・・」
(・・・走ってきたのかな?)
珍しげに三成を見ていると、続けて出てきた言葉
「自室からの外出禁止だったはずでは・・・」
ぎくりと瞳を揺らす湖
少しの沈黙の後、湖は気まずそうに三成を見上げた
「・・・家康には、内緒にしてくれる?」
三成は、目を閉じ軽いため息をつく
「あの・・・三成くん・・・」
そして、湖の横を通り過ぎると、自分の探しに来た書簡を数冊とり、先ほど持っていた巻物を湖に手渡す
「これは、湖様のお探しの絵巻物です」
「わぁ・・・ありがとう!三成くんが持ってたんだ。あ・・・じゃあ、ここに来ても見つけられなかったんだね。三成くんに会えて、良かった」
ニコニコと巻物を受け取った湖を、有無を言わさず抱え上げると・・・夜中に合わない・・・というより、三成らしくもなく・・・ドタドタと大股で歩き、湖の部屋へ向かい出す
「へ・・っ!?み、みつ・・・なりくん・・・っ」
「少し、お静かに・・・」
(三成くんの歩き方の方が、お静かにだよっ!)
そう言いたいが、三成の様子がいつもと変わって見えて口も出せず、彼に抱えられたまま部屋に戻された
そして、部屋に戻って襖を閉められると彼は言った
「湖様には、少しお仕置きが必要ですね」