第14章 化け猫と私【後日談】 (表:信長・秀吉 裏:他四名)
■三成編
「んっ」
月明かりの照らす部屋
閉めた襖から入る光は柔らかく、二人を包み込むように照らす
「み、つなり・・・くっ・・・」
「はい」
真っ赤に頬を染めた湖が、後ろを振り向き三成を見つめる
「あの・・・」
「なんです?」
湖は、寝衣をはぎ取られ素肌を晒す
その身体を背中から包み込むように、三成がぴったりと寄り添い寝ていた
「ん・・・っ」
(どうして・・・)
============
一日横になり、誰も来ていない時間は寝ていた湖は、夜寝付けずにいた
家康が、城から御殿へ戻る前に薬を持ってきてくれ、それを飲まされる
そして念を押すように、部屋から出るなと言って帰って行った
部屋の褥でごろごろと身体を揺する湖
鎮痛剤のおかげで、動いても蹴られた部分は痛みを感じない
「よし」
そう言うと、三成が持ってきてくれた絵巻物を開く
灯の下で、それを読んで読んで・・・どのくらいの時間がたった頃だったか、読み進むとそれは、次の巻物に続く内容だった
湖は、三成が持ってきてくれた数本の巻物を見るが、続きはなさそうだった
「・・・ちょっと気になる」
巻物を閉じながら、どうしようかと迷いつつも・・・
「もう真夜中だし・・・誰にも気づかれないよね」
そう言い、襖を開け書籍や書簡の置いてある間へと足を進めた
涼しい風と、虫の声
今夜は、本当に静かな夜だった
目的の場所に着いた湖は、その扉を開こうとすると、近くで足音がするのに気がつく
(あ、見回りかな・・・?隠れた方がいいよねっ)
別に隠れなくてもいいのだが、家康の言いつけを破っている後ろめたさから、静かにその扉を開き中に隠れた
やがて、足音が近づくと
(早く行って下さいね・・・っ)
悪いことをしているかのように、心臓がばくばくと、へんな汗まで出てくる
とん、とん・・・
だが、その足音はまさに自分と扉をはさんだ真向かいで止まった
(え・・・っ、嘘・・・っ!?)
扉を押さえようとすると同時に、扉が引かれ開いてしまうと、湖は目を瞑って其処にしゃがみ込んでしまう
「っ・・・見つけた・・・」
(ーっ・・!怒られるっ!!)