第14章 化け猫と私【後日談】 (表:信長・秀吉 裏:他四名)
「・・・何?」
ゴクリと唾を飲み込むような動作のあと、湖は思い切って聞いた
「もしかして・・・家康、私のこと好き?」
(・・・・・・は??)
言われた家康は、染めた頬も元に戻るくらい
冷や水をかぶせられた気分だ
(今更・・・何を・・・)
そして怒りにも似た感情が混み上がる
「あんた・・・」
「っ・・・!!ご、ごめんないさいっ!勘違いですっ・・・!」
家康の表情から、自分の考えが違ったとばかり身体を反らす湖
反対に、ふと自分の顔を片手で押さえて落ち着こうとする家康
「・・・言わないだろう・・・普通、「今度は全部貰うから」とか「触れさせて」なんて・・・好きでもない女に・・・」
「っ・・・!」
(っ・・・今、好きでも無い女に言わないって・・・じゃあ・・)
「好き・・なの?」
「・・・あんたは・・・俺がどうして、あんたに触れたと言ったと思ったの・・・」
むっとし、眉を潜めると
湖は恥ずかしそうに
「えっと・・・好意は持って貰ってるのかな?って・・・」
えへへっと軽く笑う彼女に、家康はぴきっと何かが切れる感じがした
「・・・好意を持って貰ったら・・・誰にでも抱かれたわけ?」
「え、違うよっ・・・それは、私が・・・」
もぞもぞ喋る湖の声は聞えにくく、後半は何を離しているのかわからないかった
でもその表情は・・・
(っその顔・・・)
「・・・聞えない」
内心どぎまぎしている家康だが、表情には極力出さないよう努める
「だから・・・んとっ・・・私は、家康が・・」
(俺が・・・)
「す、・・好きなのっ・・・!だから・・・家康その・・・綺麗だから・・・こんな痕残ったら・・・」
(・・・・・なに、それ・・・)
ぐわっと顔が染まるのが自分でもわかる
急ぎ手で覆って隠すが、それを見ていた湖は「え・・・」と小さく驚く
「えっと、家康・・・?」
「・・・ちょっと待って・・・」
ふぅっと、小さく吐く息が妙に大きく感じる
「・・・あんたと、同じ・・・だから・・」
一瞬の間ができ、湖を見ればその顔はきょとんとしているようだ
家康は懐から薬袋を取り出すと、褥横にあった水を用意して湖に差し出す
「痛み止め」
「あ、う・・・うん」
出された薬を水と一緒に行きに飲む