第4章 眠りの森の (裏:三成、光秀、秀吉)
鈴は尻尾をパタパタと振りつつ光秀の胡座の中に収まっている
リンリンと鳴る鈴は左耳上にちょんと乗っているようについているが、鈴は気にする素振りも見せない
全身を優しく撫でてやるとグルグルと嬉しそうな音をさせた
「…光秀様に…鈴様…」
「どうした?」
開いていた襖から三成が姿を見せた
しばらく様子を伺ってから、何時ものように微笑み自分の部屋へと招いた
光秀は「あぁ」と短く返事をし鈴を抱え歩き出した
閉じた部屋に着物を残して
三成の部屋には、何時ものように書物が積まれている
「今、茶を用意しますね」
「いい、不要だ」
「そうですか」
そう言うと二人は向かい合わせに座り鈴を見ていた
「お前の用は…俺と同じだろう」
「そうですね。正直に申しますと…興味があります」
湖がどうして、どうやって変化し戻るのか
「先程は喉をなでて変わった。尻尾は握りさせしなければ…」
そう言い光秀は優しく尻尾を撫でた
「問題ありませんね」
三成は額部分を指で撫でると、もっとと鈴がすり寄った
「今朝はまたたびの枝で酔って戻られました。恐らく鈴様の意識が途切れると変わるんでしょう…」
リンリンと鈴が鳴る室内で、二人は猫を触ったり見たりと
端から見れば猫一匹に詰め寄るおかしな光景
一方、構ってもらうのが好きな鈴はご満悦の様子だ
「今は湖様は寝ているような状態でしょうか…」
「それは戻ってから本人に聞くしかないな。さて、戻す方法だが…」
「犬と尻尾、またたび以外を見つけたいですね。もっと簡単に戻る方法を」
三成は鈴を目線に持ち上げると
「鈴様はご存じでしょうか」
そう猫に尋ねた
すると、みゃーんと一鳴きすると三成の方へ跳び跳ねた
驚いた三成は半分背中の方へ倒れるようになりながら、片手で体を支え、反対の手で自分の胸元にいる鈴が落ちないよう支えた
「三成、鈴に聞いても猫だ。わかるわけないだろう」
光秀の言葉に、鈴はみゃーんと答え三成の顎に両手をのせ唇にキスをした
チリンッ
「?…!?」
ふわりと花の香りと共に、三成にかかる重さが変わる