第14章 化け猫と私【後日談】 (表:信長・秀吉 裏:他四名)
■政宗編
(駄目だ・・・眠れない・・・)
昨日は、熱もあったし薬も飲んでいたせいかぐっすり眠れた
なにより、こちら(戦国時代)に来てから鈴の影響なのか眠りが深い
なのに、今日は眠れない
(原因は、解ってる・・・)
光秀の話が気になって仕方ない
なのに、その気になっている人物は部屋に訪れてもそのそぶりすら見せない
時刻はもう夜更け
(政宗・・・もう御殿に帰ってしまったよね・・・)
寝付けず褥を出るが、脇がぴりりと痛む
その部分を押さえながら、部屋から見える庭に降りると月は高く上がっていた
「・・・政宗・・・」
ぽつりと月に向かって名を呼ぶ
「湖、何やってるんだ」
まさに今呼んだ彼の声が聞え、振り返れば目を丸くしている政宗の姿があった
「政宗っ・・・」
「・・・たくっ・・・帰りがけに様子を見に来て正解だったな・・・なにやってるんだ、お前は」
痛みも忘れ駆け寄ると、政宗の両袖裾を握る
「・・・政宗・・・」
嬉しいなのか、悲しいのか、よく解らない涙が出る
その様子に政宗は腰を屈め、湖の顔をのぞき見た
「何泣いてるんだ」
くくっと笑うと、湖を抱き寄せるように抱き上げ部屋に運ぼうとする
「だ、だめだよ・・・っ!」
「は?・・・なにがだ?」
政宗は本当に解らないような顔をする
「だってっ・・・肋骨を折ったって・・・」
「・・・・・・光秀のやつか・・・」
気まずそうな顔をすれば、やはり光秀の言っていたことは本当なのだと湖は確信する
「無理しないで」
「・・・・・・」
湖がそう言っても政宗は湖を下ろそうとはしない
暴れてたら怪我に触るかと、湖も暴れはしない
「こんなの無理な内にはいるか」
ぼそっとお声がすれば、そのまますたすたと部屋に運ばれる
「ま、政宗・・・っ」
「惚れた女がそんな顔してるんじゃ、気になって仕方ない。話を聞いてやるから、まず部屋に運ばせろ」
そう目を見て言われれば、何も言えなくなる湖
(惚れた女・・・って・・・)
真っ赤に染まった湖を褥に下ろすと、政宗もその横に並ぶように座った