第14章 化け猫と私【後日談】 (表:信長・秀吉 裏:他四名)
■秀吉編【表】
昨夜の始末
城下町外れとはいえ、城下での出来事
木々だけではなく、その影響は近くを流れる川にまであった
川にかかった橋の修復、道を塞いだ木の排除、道の整理など、事の始末に追われたのは秀吉と三成
早急にと、処置を済ませ御殿に着いたのは真夜中になってしまった
「では、秀吉様」
「あぁ、また明日に続きだな」
そして、部屋に戻る途中で家臣に声を掛けられる
「秀吉様、湖様が半刻ほど前にお越しになり、部屋でお待ちです」
「・・・は?湖が・・・」
夜にふさわしくない、慌てたような足音が響く
湖は襖の方を向くと、其処が勢いよく開いた
「お前はっ・・・なに出歩いてるんだ」
秀吉の焦った表情
湖は、構わず頭を下げ
「お帰りなさい、秀吉さん」
と、挨拶する
「湖?」
そのまま頭を上げようとしない湖の前に、腰を下ろすと、秀吉が座ったと同時に湖が口を開く
「光秀さんに言う通り・・・私、誰かにちゃんと言うべきだった・・・ううん、政宗に戻された部屋で大人しくしておくべきだったのかも・・・」
「・・・」
湖が言おうとしていることを察する秀吉
「私が、勝手をしてしまったせいで・・・秀吉さん達に怪我させてしまって・・・すみません・・・」
途中で声が震える
「・・・ごめんなさい・・・」
秀吉からの返答が聞えない
畳についた湖の手に涙が落ちる
「お前は~・・・それを言うために、こんな時間に部屋を抜け出してきたのか?」
頭を掻くような動作をして、秀吉が息を着く
「湖、勘違いしてるだろう?誰も、お前のせいで怪我なんてしちゃいない」
「・・・っでも」
「でもじゃない。あの怪物を野放しには出来なかったし、城下町へも入れられない。だから対処したんだ」
「でも・・・」
「まだ言うか」
ビクリとする湖の頭を秀吉はいつものように、ぽんぽんと軽く叩き・・・
ぐしゃぐしゃとなで回しはじめる
りんりんっと、髪飾りが鳴る
「っ??」
「あのな、確かに光秀の言うことには一理ある。昼も言ったがな・・・でも、今のままの湖が良いんだ」
自分がぐちゃぐちゃにした湖の髪を秀吉は笑いながら、整えはじめた