第14章 化け猫と私【後日談】 (表:信長・秀吉 裏:他四名)
「これは、鎮痛剤。傷の痛み、昨日より増してるでしょ・・・」
「う・・・けど、動かなきゃ・・・」
「そこまで苦くないから」
「・・・解った・・・」
(政宗の大福、薬の後にすれば良かった・・・)
「どうして、大福の前に言ってくれなかったの?」
「・・・心配させたお返し」
「い・・・意地悪・・・」
くくくっと、笑っている政宗の横で湖は眉をしかめつつ家康の薬を飲む
良薬苦しとはいう物で、家康の言葉とは反しやはり苦い薬
湖は、「うーーーっ」と苦みを我慢していると・・・襖が開き、新たな訪問者が
気づかずにいた湖の横に座ると、懐から何かを取り出し口元に運んだ
「湖様、これを」
薄ら明けた目に入ったのは、金平糖
思わず、その手を自分の口元に引き寄せ、そのままパクリと金平糖を食べる
「あ・・・」
かりっと、割れた金平糖から口の中に甘みが広がる
(良かったー!美味し・・・あ・・・)
そこで、自分が人の手の平から金平糖を食べたことに気づき、顔を上げると・・・
其処には頬を染め固まっている三成が居た
「っゃ・・、三成くんっ!ご、ごめん!!」
急いで、自分の袖口で手の平を拭こうとすると、やんわりと手を引っ込められる
みれば、三成はいつもと同じ笑みを浮かべていた
「湖様は、苦いのと辛いのが本当に苦手ですね。秀吉様から頼まれて持ってきたこれがあって良かったです」
金平糖の入った袋を懐にしまう三成
「お前は何を持ってきたんだ?」
政宗は、その三成の横に置かれた本を指さした
「これは、湖様に。しばらく安静でお部屋を出られないと聞いたので・・・簡単な絵巻物を用意しました」
「わぁ・・・っありがとう」
三成が持ってきたのは、綺麗な絵の入った巻物
「湖様でも読めるものだと思いますが、解らない箇所があれば聞いて下さい」
「うん、ありがとう。三成くん」
「三成らしい・・・」
ぼそっと家康が言えば、三成は「お褒めの言葉、ありがとうございます」とにこりと返す