第14章 化け猫と私【後日談】 (表:信長・秀吉 裏:他四名)
「ば、お前・・・」
ぐいっと、秀吉が光秀の肩を引き、湖から距離を取らせた
湖は、呆けて温かい感触のあった頬に手をおく
「簡単に泣きやんでいいな・・・涙まで甘いか・・・」
くくっと、笑うと光秀は部屋を出て行った
(へ・・・わたし、今・・・光秀さんに・・・)
「ったく・・・湖」
秀吉が自分の着物の袖で光秀に口づけされた頬を拭いながら言い続ける
「・・・確かに、光秀の言う事には一理ある。お前は、すぐに行動に移すから危なっかしくて見てられない・・・ちゃんと、俺たちの見える所に居ろよ」
(・・・優しすぎだよ、秀吉さんも光秀さんも・・・)
「うん・・・」
=================
昼、湖が寝疲れるのを見計らったように訪れたのは政宗と家康だった
「やっぱり起きてたか。旨いもの作ってきたぞ」
政宗がお盆にのせて盛ってきたのは、白い大福
猫が丸まったような形をしていた
(白粉・・・みたい・・・)
湖の考えを見抜いたように、家康が口を開く
「朝・・・ワサビの散歩ついでに、三人の墓にこれを置いてきたよ・・・あんたにもついでにあげるよ」
上半身を起こしていた湖の手元に置かれたのは、小さな白い花
ちゃんと器に水を入れて飾ってあった
「ワサビが、食べようとして食いちぎったのを・・・もったいないから」
(・・・嘘・・・だって、切り口も綺麗でしっかりした茎だもの・・・)
「お前は、相変わらず素直じゃ無いな」
政宗が、含み笑いをすると家康はそっぽを向いてしまう
それを見た湖が、クスクスと笑いだした
「ふふっ、ありがとう!政宗、家康、すごく嬉しい」
二人は、それを見て安心そうに笑って見せる
「よし!湖、食って元気もだせ!」
政宗が作ってくれた大福は、見た目も味もとても良く
湖は、ぺろりとそれを食べ終えた
「今日も、美味しい!政宗のお料理は最高だね」
「良し。元気になるまで作ってやるからな」
政宗がポンと頭を軽く叩く
「じゃあ、元気が出たところで・・・湖、薬飲んで」
「っ・・・もう熱ないよ」
嘘ではない、昨夜の熱はなんだったのだろうというくらい
腹の痛み以外、湖の体調は良かった