第14章 化け猫と私【後日談】 (表:信長・秀吉 裏:他四名)
翌日、部屋に最初に訪れたのは意外にも信長だった
「・・・なるほどな・・・付喪神に化け猫、それに式神か・・・あの僧侶が持っていた鏡は無くなったのだな?」
「だと、思うんです・・・」
「ずいぶん歯切れが悪いな、湖」
「すみません、私は顕如さんが半分に割れた鏡の片方を砕いたのは見たのですが・・・もう片方は、顕如さんが・・・」
湖は、床に入ったままで信長を見上げるように話す
(・・・顕如があの化け猫を鎮めると、言っていたな・・・残りの鏡を使ったという事か・・・湖の説明ように、おそらくはあの男が鎮めたのであろうな・・・)
『操られていたと言え、私がしたことに変わりは無い。主らにはすまないことをした』
(白粉と呼ばれていたか・・・その名にふさわしい毛色であったな・・・)
信長が黙ったままでいるのを湖は不安げにその瞳を覗く
「何を考えている」
信長がその瞳に気づき尋ねた
「その・・・色々ご迷惑おかけしてすみません・・・」
「貴様の迷惑など面倒のうちにも入らん。それに、この度は物の怪と呼ばれる類いの物にも遭遇出来いい体験であった」
そう言うと、湖の髪を一房すくい口づけを落とす
流れるような動作に湖は、驚きに頬を染めた
「だが、もう自ら傷をつける事は禁ずる・・・いいな」
「っ・・・は、はい」
「良し・・・その傷、さっさと治せ」
「はい」
微笑んだ湖を見届けると、信長は部屋をあとにした
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信長が部屋を出た後、次に部屋に立ち寄ったのは秀吉と光秀
「先ほど、信長様からおおよその事は聞いた。事の流れは解ったが・・・どうして、お前はそんなに色々巻き込まれるんだ?」
「秀吉、巻き込まれているのではなく、巻き込まれに行くの間違いだろう・・・」
「あはは・・・どっちの気も無いんですけど・・・」