第14章 化け猫と私【後日談】 (表:信長・秀吉 裏:他四名)
急ぎ手で隠せるところを隠すも、家康はお構いなく、湖の背中に手を差し入れ、その上半身を起こす
「い、家康!」
「見て」
家康に言われ、指示された場所を見ると
蒼赤い内出血の跡
それも脇腹からおへそに掛けて結構な幅で色をつけていた
「これ・・・」
湖が確認すると、起こした上半身を再度床につかせる
「内臓まで痛んでる可能性がある。触診するから、痛いところ教えて」
「う・・・うん」
思いの他、酷そうな傷跡に自分でもまずいかもと思ってしまう湖は、家康の触診に真剣に答えていく
前が終わると、うつ伏せに去れ腰、背中の中央を軽く押される
「どう?」
「大丈夫、痛くない」
「・・・寝衣、着て良いよ」
ふうと、ため息を零すと家康は手桶に入れてあった手拭きを絞る
寝衣を着た湖は、布団に正座し家康を見た
「何やってるの」
「あ、あの・・・どうだった?」
「いいから、寝て」
家康は、湖を褥に寝かせ、羽織を肩までしっかり掛けると
「内臓部分は今のところ大丈夫みたいだね・・・でも、怪我のせいか、今日の出来事のせいか・・・熱が出てきてる。自分でも解ってるよね?」
(確かに熱っぽい)
「・・・うん」
素直に答えると、彼は絞った手拭きを湖の額に乗せる
「熱が下がっても、この痣が消えるまで。無理は・・・外出は禁止」
「お城から・・・」
「部屋からに決まってるでしょ」
「っ・・!ええぇ・・・」
「・・・出来ないなら、連れ帰って俺の御殿に閉じ込めるけど・・・」
家康ならやりかねないと、湖は急ぎ首を振った
「じゃあ、明日。朝にもう一度観に来るから」
家康が出て行って、1人になった湖は、今日の出来後とを思い出しながら眠りについていった
その夜
湖は、白粉と子猫、それに煙管の幸せそうな姿を夢見ていた
ありがとう
と小さく言われ、一筋の涙が頬を伝った