第14章 化け猫と私【後日談】 (表:信長・秀吉 裏:他四名)
それだけで、湖は真っ赤に染まる
そのまま立ち尽くしていると、三成が湖に尋ねてくる
「・・・湖様、恥ずかしければ目を瞑っていて下さい」
「え・・・?」
少し上向いて三成を見れば、彼は湖の赤が移ったように、少しだけ頬を赤らませていた
「お手伝いします」
そして、着物の下帯をするりと解かれ、湖は何も考えられず、目をぎゅうと閉じてしまう
シュル・・・
しゅ・・・
部屋は、衣ずれの音だけが響くようだった
ゆらりと揺れる灯が、湖を照らす
最後の襦袢に三成が手を掛けようとするのを、湖は防ぐように襟元を握る
くすりと、小さな含み笑いが聞え、身を固めると・・・
「意識しないで下さい。大丈夫です・・・直ぐにすみます」
そう言い、優しく手を除けられる
(・・・意識しないなんて、無理だよ!!)
目を瞑ったままの湖の心臓は、いつになくせわしなく鳴り響く
そして最後の一枚が、肩から外されるの待っていると・・・
腹部に直に素肌を触る手の感触に驚き、目を開けてしまう
其処には、家康が立ち膝で自分の腹部を触診し怪我の具合を見ている姿が
さらに湖を支えるように両肩を持ち着物を広げる三成に
その様子をじっと見ている上座の信長
家康の上から覗き込むように政宗が
そして顔を赤らめる秀吉に、何のことも無いかのように酒を飲む光秀
「っ・・・!!」
めいっぱいの力で着物を引っ張ると、前を併せてその場にしゃがみ込む
「み、見せました!!もういいでしょう!!」
涙ぐんで、前を見れば・・・
家康は、難しそうな顔をしている
「湖・・・あんた、一体どんな蹴られかたしたの・・・」
「家康」
「信長様、湖はしばらく安静にさせてください。足の傷はありませんが、蹴られた腹部は思いの外酷い様子です・・・内臓にいってなければ良いんですが・・・」
「解った。部屋に連れて行け」
「は」
そして、家康に突如抱えられた湖は天主から出て行くことになる
「・・・湖には、聞きたいことがあったんだがな・・・」
「政宗、お前は何があったんだ?」