第13章 化け猫と私

すらりと三成も刀を抜く

「･･･行け･･･」

僧侶が、呟けば式神が動き出す
林に響く音と土煙は、止むことが無かった


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「っ湖様！もう止めて下さいっ！！」

煙管が慌てて止めに掛かるも、湖の太ももには先ほどとは比べものにならないような量の血液が滴っていた

「･･･もうちょっと、せめてあの子猫くらいに･･･っ」

血液が流れ、円に進めば、湖の血でかたどられる猫は大きくなっていった
やがて、子猫ほどになると
湖はようやく腕の力を抜き、刀を抜いた

「、っ」

抜いた刀と同時に血が飛び散る
痛みで気が遠のきそうになるのをこらえ、着物の袖を破いた物で傷を止血した

（･･･っ痛い）

眉をしかめ息を吐き出すと、湖は子猫の姿のそれを見る
よく見れば、湖と同じ･･･髪飾りを模ったものを背負っている
まるで鈴のように

「･･･白粉を、外にだして･･･」

煙管ははっとし、その子猫を見た
子猫は、倍以上の大きさのある白粉の骸の首後ろを噛むと、ズ･･ズリ･･･そんな音を立て少しずつ引いた
その背中が少し出たところで、湖は毛を掴み白粉を円の外へと引っ張り出す
子猫は、褒めてっと言わんばかりに湖へとすり寄ってくる
湖はそれの額を撫でると、とろりとした自分の血液が指に付き真っ赤に染まった

「･･･良い子ね、ありがとう」

指を離し、白粉の骸を煙管の前に
そして、壁から見える外の様子をじっと見て
もう一度、その猫に願った

「白粉を止めてきて」

赤い猫は、じっと湖の顔を見つめるような仕草をすると「みゃぁ」と鳴き外へと飛び出していく

湖は、ふぅっと大きく息を吐いた

（足は痺れるでも、壁を伝えば、どうにか歩けるはず･･･）

煙管に白粉を預けようとしたが、彼はもう物に触れることも出来ないほど薄らとしていた

「っ、煙管さん」

湖が口を塞いで煙管を見れば、彼は薄く微笑むままだった

「･･･私も、そろそろ限界が近いようです」

そう言われ、湖は懐にあった煙管と見ると
元々あったひびが大きく広がっていた

ドォオオン！！

地鳴りと振動が、今までで一番近くで鳴り響く