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【イケメン戦国】私と猫と

第13章 化け猫と私


ちりりんっ!
にゃぁっ

紐を引くように、身体で引っ張っても動きそうも無い

「三成や秀吉には伝えておく。ここで待て」

政宗は湖の着ていた着物を置き、部屋から出て行ってしまう

(駄目!・・私も、私も行くよ!)

いくら呼んでも政宗は戻らない

(人間に戻れれば・・)

そうは思うが、コントロールが聞かない湖は人の姿には一人で戻れない

(血の匂い・・・)

政宗の言った言葉
もしそうなら、白粉が危ない・・・

(っ・・・誰かっ!誰かここから出して!)

みゃあぁ!

カタリ・・

(っ?!)

触っていないのに、煙管が転がる
煙管は、驚く湖を尻目にぐるぐると回り出す

(な・・・何これ・・・?!)

怖くなった湖は、極力距離を取ろうとしていると、突然目の前に煙が立ち
気がつけば・・・

「お困りのようですね。何か出来ることはありますか?」

とどこかで聞いた声が上から振ってくる

(っ・・・??)

みゅ?

(・・・貴方)

其処に立ち膝で自分を見下ろすのは、あの茶屋の亭主
だが・・・何か、おかしい

「とは言っても・・・今、これしか実体化出来ない私には出来ることが少ないのですが・・・」

困ったように薄く笑う亭主

(・・・透けてる?)

「えぇ・・・私は、付喪神・・煙管の付喪神です。浪人に襲われ、この身を破損して・・・この有様です。白粉がどうにか、私を隠してくれたようですが、白粉の子が殺されてしまって・・・この分だと彼女も・・・」

亭主は悲しそうに顔を伏せた

(・・・付喪・・?あの、ものに宿る神様?)

「・・・彼女から聞いて、私を託された訳では無いんですか?・・・そうです。付喪神です。この組紐で白粉に眠るようにと封印されてしまっていました。解いていただき、助かりました」

(白粉・・・そうだ、私行かなきゃっ)

「この紐、解きたいのですが・・・これに触れることは私にはできないのです」

亭主が、悲しそうに言うのを見て、湖は別のことを願った
すると、「それなら、可能です」と亭主が行動する

願いが上手く行き、人の姿に戻った湖は、着物を着て、見つからないように部屋から出た

湖が出てまもなく、三成が部屋の様子を見に来たが其処は、もぬけの殻
赤い組紐だけがその場に落ちていた
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