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【イケメン戦国】私と猫と

第13章 化け猫と私


二匹の猫が会話をするのを、男はギリリと錫杖を握り閉め見ている

(「・・・我が子を取り戻せば・・・それで良い・・・もう、この身体は動かなくなる・・・子の亡骸と共に、私を・・・」)
(「それなら、私が・・・持ってくる・・・だから・・・」)
(「っ?!・・・そうか・・・そうすれば良かったのだな・・・でも、もう遅い・・・」)
(「遅い・・・?」)

そこで、二匹の間を割るように錫杖が振り落とされ、二匹は反射的に反対方向へ飛び退いた

「仲間同士の話は終わりだ・・・契約通り、お前には式神になって貰おう・・・」
【・・・約束を守れ・・・】
「契約だからな、お前の骸と子の骸、一緒に埋めてやろう・・・」

鈴の視線から見えた男の顔は・・・まるで蛇のようだった
顔半分が火傷で崩れ、見開く片方の目は金色に光る

(「・・・契約?」)
(「お前の所から出た後、私の身体はもう動かなくなった・・・かろうじて意識だけは残っていた所を、こやつに拾われたのだ・・・身体を三日間持たせてくれると・・・その間に・・・」)

「行くぞ・・・」
【・・・・・・】

(「・・・お前になら、委ねよう・・・茶屋の隣にあった社、あそこに私の大切なものが置いてある・・・隠して置いた・・・お前にやろう・・・」)

一度振り向くと、白粉は姿を消していった
湖は、一度に言われたことを把握仕切れずその場にたたずんだが、直ぐさま後を追うように走り出す
すると、林の奥に人気の無い寺を見るけた

(・・・廃墟?)

人の気配は全く感じない・・・
でも、ここに白粉が居るような気がした
足を踏み入れようとしたところで、腹に手を差し入れられ身体が浮く

「やっと見つけた・・・悪いが、時間だ・・・帰るぞ、湖」

ひどく怒った顔で、湖を持ち上げると
猫の鳴き声の訴えに耳を貸さずに戻りはじめる政宗

(政宗!お願いっ!元に戻してっ、此処にいるの!白粉っ居たの!!)

だが、彼は足を止めない
見向きもしてくれない

ずんずんと進む度に、あの寺が遠ざかっていく
鳴き止まない猫の鳴き声

(こいつ・・・一度、城に戻して説教だ・・・)

団子を食べに着た茶屋の近くを通り掛かった時、湖は身体を捻りどうにか政宗の手をふりほどき、社へ向かった

(せめて、これだけでも・・・)
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