第13章 化け猫と私
そうして、政宗に連れられ城下に出た湖
もっとも、政宗にも政務がある
空いている時間だけだと言われて、白粉を探し歩いていた
そして、城下外れの林を訪れた時
(あれ・・・)
「見つけた・・・、政宗っ!」
湖が城下で探していると、白粉らしき後ろ姿が
耳が片方切れた白猫が、林の方へ向かっているのに気づいた
「お前・・・よく見つけたな・・・」
正直、もう二日も探し見つからなかったので、猫は殺されてるのだと思い込んでいた政宗は、意外そうな顔をした
「行っちゃうよ!!行こうっ!」
猫を追いかけて湖が走り出す
「馬鹿っ、走るな・・っ」
政宗が声を掛けた時には、既に遅く・・・
白猫を追いかけて、煤色の猫が走っていく姿が目に入る
「っ・・湖!待てっ!・・・っくそ・・」
政宗は、落ちた着物を抱え、猫たちの進んだ方角へと進み出す
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一方、鈴の姿に変わった湖は掛けていく白猫をひたすら追っていた
(・・・白粉)
そして、猫が林の中で座る男の前で止まった
深く傘を被った僧侶の格好の男の前で
「・・・戻ったか・・・さて・・・良いか?」
その横顔から火傷の跡が見られる
湖は、様子を伺うように林に身を潜めていた
【良い・・・我が子を殺した男・・・織田信長で間違い無いのだな・・・】
「信長が、革袋に子猫の死体を所持しているのは解っている・・・お前も、その匂いをたどって城に入り、解っているのだろう?」
【・・・我が子を殺した信長・・・】
(・・・やっぱり・・・信長様が疑われている・・・止めないと・・・)
にゃぁー!!
(あ・・・私・・・)
湖は鈴の姿になっていたことに、今気づいた
ざっと茂みから姿を現した煤色の猫に、僧侶は驚き、白粉は目を開く
「何だ?・・・この猫は・・・」
【・・・お前は・・・】
白粉は、湖に近づくとフンフンと鼻を鳴らすように匂いを嗅ぐ仕草をして見せた
(「やはり・・・あの娘だな」)
(「っ!・・・白粉、解るの?」)
(「匂いがな・・・お前は・・・すぐに、逃げろ」)
(「っ違うよ!白粉、信長様は、猫を殺したりしてないっ!」)
にゃん、にゃ・・・