第13章 化け猫と私
「秀吉さん・・ッ!ご、こほっ、けほっ・・・」
「湖、咳まで出てきたのか?お前はゆっくり・・・」
羽織を直そうと、屈んだ秀頼の腕をぎゅうと握ると湖は蒼白な顔で聞く
「その・・革袋に入っていたものは・・・子猫ですか・・・」
「っ・・・なんで・・・」
「秀吉?」
「湖様?」
その反応に、革袋の中身が解った
子猫だ
湖は夢で現れた白粉がしようとしていることは本当なのだと確信した
「・・・私・・・白粉、探さなきゃ・・・」
(革袋を持った男を殺すって・・・そう言ってた・・・それが此処にあるっていう事は・・・)
羽織を避け、立ち上がろうとする湖を秀吉が止める
「待て、湖っ・・・解るように話せ」
(早くしなきゃ・・・白粉が・・・皆が・・・)
声が届いていないのか、答えない湖を秀吉は抱えて歩き出す
「っ・・・秀吉さん」
「このまま、お前を置いて行ったら居なくなりそうだからな・・・一緒に連れて行く」
横抱きにされた湖は、そのまま歩く秀吉を見上げる
眉間に皺がより、怒っている表情だと解る
「同感だ」
「・・・そうですね。それが良いかと思います」
政宗と三成も後ろを付いて来ているのが解る
そして、信長と光秀の待つ部屋に向かえば、其処には家康も居た
「湖・・・秀吉さん・・・」
「悪いな、家康。病人を動かすのが得策では無い事は解っていたんだが・・・あのまま放っておくと、猫を探しに行きかねなかったのでな」
「・・・あんたは・・・」
家康は、秀吉から湖を受け取ると着ていた羽織を掛け、額に手を当てた
「・・・熱は上がってないね・・・さっきから、時間が空いたから・・湖、これ飲んで」
懐に入れてあった薬を手渡し、それを飲ませる
「貴様は、なぜそんなに猫を探したいのだ?」
信長が、革袋を前にし湖を見る
「・・・白い、子猫ですか・・・?」
湖は震える声で、信長の質問とは別の事を聞き返した
「・・・なんだと?」
信長は眉をしかめ、秀吉をみたが、彼は首を振るだけだった
「・・・白粉が・・・昨日助けた白い猫が夢に出てきたんです・・・子どもを殺した男に復讐する、革袋に子どもを入れた男を殺すんだって・・・」