第13章 化け猫と私
「政宗・・・」
「泊ってくだろう?」
「っうん!ありがとう」
「いい。礼は・・・白粉が元気になってから、さっきの処置の事を教えろ」
「?・・・うん、わかった」
なんで今じゃ無いのか・・・そう一瞬思ったが、それが政宗の優しさなのだとも、すぐに気づいた
(確かに・・・今は、私のこと話す気分じゃ無い・・・白粉が気になるもの・・・)
「ありがとう、政宗」
「ん・・・」
その夜のこと、息の浅い白粉を見守っていた湖だが段々と眠くなってくる
とうとう少しだけと、横になったとき
白粉が目を開けた
そして、痛々しい身体をゆっくりと動かしながら湖の横に
『・・・礼を言う』
湖は、夢を見ていた
元気な白粉が、自分の前に座って「ありがとう」と言ってくる夢
そんな夢を見ていた湖は、はっと目を覚まし、白粉を呼ぶ
「白粉・・・」
白粉の姿は無かった
それから、バタバタと廊下を走る湖を見つけた政宗は事情を聞くが、湖に今夜はもう休むようにきつく言い部屋に閉じ込めた
湖は納得していないようだったが、冷たい川に入ったせいか寒気と疲れで政宗の言うことを聞かざる得なかった
そして、翌日
湖は熱を出していた
政宗に抱えられ、自室に戻され、家康の診察を受けることに
連れてこられた際には、女中達が大急ぎで部屋の支度をし、家康に知らせてくれた
丁度、城に居た秀吉に三成も顔を出し、政宗に事情を聞いている様子
そんな様子を見ていた湖だが、気がかりは消えた白粉だ
(・・・何処に行ったの・・・あんな怪我して・・・)
やがて家康が部屋に来ると、第一声が・・・
「あんた、馬鹿なの・・・こんな時期に川に浸かるなんて」
そう言いながらも、心配してくれる優しい家康に「ごめん」と詫びれば、いつも通り「別に」と返してくる
薬を飲ませ、2日ほど安静にしているように伝えると
「で・・・何があったの?」
と、部屋にいる政宗たちに聞く
湖は、薬が効き始めたのか眠りに落ちていた
「あぁ・・・ちょっと前に行った茶屋の・・・」
政宗の説明が、終わると三成が腰を上げる