第12章 私を待っていた彼は(裏:安土組全員)
かっと、赤くなり動揺を見せる湖の反応に満足したように政宗が続ける
「夢じゃ無く、起きてるときに告白しろよ」
「わたし・・・なんて・・・っ」
「『政宗、好き』そう言った。二度も」
顔を下げ、政宗の胸に隠すように埋めれば、小さく声を出す
「っ・・・言ってない」
「確かに聞いたな」
「っ・・・言ってない・・・もん・・」
下を見れば、湖の耳は真っ赤だ
髪型が変わってよく見える
「聞き間違いだよ・・・」
「・・・じゃあ、嫌いか?」
「そんなわけないじゃないっ!」
顔を上げれば、真っ赤な上に涙まで溜めている
「・・・」
その顔を見た政宗が黙った
「・・・もし・・・もしそうだとしても・・・言わない・・・言ったら政宗困るでしょ・・・」
(困る?俺が?)
口を挟みたくなるが、我慢して湖の話を聞く
「・・・だって、政宗は一国の主で・・・私は・・・この時代の人間じゃ無い・・・ましてや、鈴に変わっちゃう体質だし・・・私なんか釣り合わないよ」
(こいつ・・・)
「だから・・・聞いてない事にして欲しい」
悲しげに伝う涙を拭こうともせず、湖は政宗を見上げる
はぁ・・と、ため息を零しながら政宗は、湖の涙を指で拭った
「本当に馬鹿だな・・・俺が、んなこと気にするように思ってたのか?」
「ばかって・・・」
政宗は、湖の口元に指を運び、その口を閉ざした
「確かに聞いた。だから、今もう一度言えよ」
「っ・・・言わない・・・」
「言え」
「・・・言わないってばっ」
そっぽを向く湖は、かたくなに口を閉ざそうとする
そんな湖を見て、政宗は「ったく・・・」と湖の顔を自分の方へ戻すと言った
「好きだ」
湖の目が見開いた
「湖が欲しい」
政宗は続けた
「もう手放さない・・・何があっても、あんな目にも合わせない。だから、側に居ろ、湖」
ぽたぽたと、更に零れる涙に口づけを落とす
「湖を愛してる」
「っ・・・」
ぎゅうと湖を抱きしめれば、湖の手がおずおずと背中に回って抱きしめ返してくる
「まさ・・むね・・・」
「ん?」
「政宗・・・っ」
「なんだ?」