第11章 安土への道
そうして、四半時(しはんとき)部屋は静かになった
沈黙を破ったのは、湖
「・・・ん、ん~・・・」
のんきな寝ぼけ声に、四人は目を開けた
湖は、身を起こしグリグリと目もとを擦る
まるで、童のような様子に微笑ましささえ感じた
「ふぁ・・・」
小さなあくびを零すと、キョロキョロと見回し一声
「あれ・・・?謙信さま・・・?」
部屋の空気が、一気に冷え込む
「・・・あれ?あ・・・家康・・・政宗、光秀さん、三成くん・・・あ、そっか私・・・」
「・・・おはようございます。湖様、疲れてはいませんか?」
そんな中、三成が湖に微笑み掛け近寄った
「あのっ、ごめんなさいっ!せっかく探しに来てくれたのに、私・・・寝ちゃったみたいでっ」
後半は、恥ずかしそうに声が小さくなる
湖の反応だ
全員が、それに懐かしさを感じる
「いいえ。遅くなって申し訳ありませんでした。湖様の怪我の事を踏まえ、癒えてからと動いていたのですが・・・」
「ううん。三成くん、ありがとう。かえって・・・私がどじしちゃって・・・皆さん、心配掛けてごめんなさいっ」
湖がその場の四人に向け、頭を下げると
三成はその肩に手を当て、「心配するのは当然ですよ。私たちに取って湖様は大切な存在ですから」と宥めた
「ところで・・・湖様。先ほど、謙信殿をお探しのようでしたが・・・」
三成は、決して表情や感情を悟られないように、いつもの笑みのまま湖に尋ねる
政宗達は、その問いに眉をひそめた
「あ、嘘。私、なんか言った?・・・実はね、最近・・記憶の混乱のせいか、眠りが浅かったり、頭痛がひどかったりしていて、心配してくれて謙信様がずっと側に居てくれたの・・・私、それに慣れちゃってって・・・」
恥ずかしそうに下を向きながら説明する湖には
、三成をはじめとする四人の表情は見えていなかった
「・・・そう・・・でしたか・・・。良くしていただいたのですね」
三成の声が聞えると、湖は顔を上げ笑顔で「そうなの!」と頷いた