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【イケメン戦国】私と猫と

第10章 敵陣の姫 第三章(裏:謙信)


(佐助くんだけは、普通に聞いてた。謙信さまたちは、この歌を聴いて寂しそうな顔をしていた。だから、歌うのは一人の時だけに・・・)

「私は・・・忘れてる・・・」

ガサ・・・ッ!!

「っ?!」

明らかに、人が訪れた事を知らせる草木の揺れ
湖は、音のした方をじっとみて立ち上がった

「・・・さ、佐助くん・・・?」

ガサガサと、返事は無いが音だけが近づいてくる
逃げるように、木の後ろに息を潜めて隠れると、

(あの人・・・)

紫の着物の男が見えた
彼は、こちらを見たまま声を掛けてくる

「驚かせてすみません。湖様」

こそりと、木の陰から顔を出してみると
彼の他に、青い着物の眼帯の男と、黄色い着物の男
三人がこちらを見ている

「・・・あの・・・どうして・・・私の名前を知っているんですか?」

そう言うと、青い着物の男は「はぁ・・・」と盛大なため息を零す

「あんたを迎えに来たんだ」

黄色い着物の人が、青い着物の人物を見た後に、再度こちらを向いて言った

「湖様、私たちは貴方を傷つけたりはしません。こちらに出てきてもらえますか?」

紫の着物の男が、微笑む
その微笑みにやはり覚えがある感覚がする

湖は、恐る恐る木陰から出て三人をよく見た
三人は、何も言わずに湖を見ていた

「・・・みつ・・なりくん・・・、まさむ・・ね、いえ・・やす・・・っ」

自然と口から出た声を塞ぐように、湖は口に手を当てる

(なに・・いまの・・・?)

戸惑いを隠せぬまま、相手を見ると三人の空気は少し和らいだように見える

「湖様・・・やはり・・・」
「っ湖」
「あんた・・・」

「っ・・・わた・・し・・・」

口に手を当てたまま立ちすくんでいると、次第に頭痛が大きくなってくる

「・・・っ」

目をぎゅっと閉じ、痛みに耐えようとしていれば、三人とは別方向から声が聞えた
そして、肩を抱かれるように引き寄せられる

「湖っ」
「湖さん・・・」

痛む頭に手を当てながら見上げると、謙信と佐助の顔がすぐ側に見えた

「・・・謙信さま・・佐助くん…」
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