第10章 敵陣の姫 第三章(裏:謙信)
その様子を、陰から見ていた男
そして、しばらくしてから更に二人の男が増えた
「三成、湖と接触したのか?」
青い着物の男が、紫の着物の男に声を掛ける
「政宗様。鈴様に以前に一度。湖様には、先ほど」
「・・・反応は?」
黄色い着物の男が、声を掛けた
「鈴様の方は、記憶を無くしていないようです。湖様は、思い出しつつある・・・といった感じでしょうか・・・」
「・・・そうか」
「・・・大丈夫ですよ、家康様。先ほど、私を見た際に・・・無意識でしょうが、私の名を呼ばれました・・・もうじき、記憶が戻るものかと・・・」
「・・・それは、それで面倒そうだけどな・・・」
政宗は、小さくなっていく幸村と湖の姿を捕らえていた
「政宗様、さきほどの輩は・・・」
「あぁ、顕如の仲間ではあるが、あいつの指示ではなさそうだな・・・」
「頭数だけで、策も腕もない下っ端の塊だった」
政宗と家康が、此処へ向かっていた輩を制圧した事を聞き、三成は「やはりですか」と答えた
「こちらの間者と連絡が取れません。おそらく、上杉に見つかったと思われます。既に、此処へ私たちが居ることは、上杉の耳に入っているでしょうね」
「顕如は、今は構わず、さっさと湖を取り返した方がいいってことだろ?」
「そうですね」
政宗と三成の話しに、家康は付け足すように言った
「湖を傷つけないように」
「あぁ・・・」
「もちろんです」
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「顕如様、申し訳ありません・・・」
刀傷を負って、顕如の者へ逃げ帰った坊主は、顕如へ先ほどの事柄を説明した
「・・・手を出すなと、言っただろう」
「申し訳ありません・・・勝手に・・・」
「・・・いい。早く同胞たちを連れ帰りこの場を離れろ・・・」
「はい」
(織田の者が、既に越後に入っているのは確認が取れている・・・おそらく、真田にはこちらの手の者が打って出たことは把握されているだろうな・・・様子を見るつもりだったが、此処に居座れば、逆に打って出られる可能性がある・・・)
「此処を退く・・・」
「はい・・・」