第9章 敵陣の姫 第二章(裏:謙信)
春日山城では、湖の品定めをするような目が飛び交っていた
謙信の加護もあり、誰かが必ず湖についていたこともあり、湖に危害が加わることは無かったが、湖は入城してすぐにその視線をすぐに気づいていた
入城したその日は、到着が夕刻であったこともあり、食事後すぐに部屋を当てられ寝入った
寝入ったと言っても、湖は謙信に囲われ、謙信の部屋で寝てしまった
次の日になれば、謙信は城を預けている景勝と直江兼続と話をするといい湖から離れたが、その間は信玄や幸村が側に居た
湖は、二人と菓子を頬張り、城を案内され一日を過ごし謙信を待った
(謙信さま・・・自分のお城に戻ったんだもの。忙しいよね・・・今日は一度も顔を見ていない・・・)
「・・・湖、湖?」
「あ、はい!」
「ははっ、天女は謙信に会えなくて寂しいか?」
「っ・・・!あの・・・いえ、今日は一度もお顔を見ていないなぁって」
その時、すぱーんっとすさまじい音を立て男が入ってきた
「謙信様は、この春日山城の主。政務も多々あるので、本日はお会いできないかと存じます」
ニコリと笑うと、信玄達の側まで来て三人の輪に入るように座る
「おぉ・・」
幸村は、呆気におされたようだった
「あ、あの・・」
「湖姫様でございますね。某、直江兼続と申します。お見知りおきを・・・」
すっと頭を下げられ、湖はすぐに自分も頭を下げた
「湖と言います・・・姫なんて・・そんなことは在りませんが、どうぞよろしくお願いします」
「お、なんだ。猫娘も、姫らしく挨拶できるんじゃねーか」
「・・・猫?娘・・・?」
「っ幸村!」
湖が挨拶するのを幸村が茶化す
その幸村の言葉に、引っかかったのか兼続が止った
「・・・兼続、何か話があって来たんじゃ無いのかい?」
信玄がそう言うと、兼続は湖を見て一息ついた後言った
「そうですね。率直に申し上げて、湖姫様」
「・・・はい」