第9章 敵陣の姫 第二章(裏:謙信)
途中からしどろもどろになっていく湖の説明に、佐助がフォローを入れる
「雷に打たれた異常現象だと思われます。俺が把握している限りでは、湖さんと鈴は一緒の器に入っていて時折入れ替わるんです。入れ替わった際に、鈴の場合と、鈴の姿をした湖さんの場合があるようです」
「解った」
佐助の説明に、謙信が頷けば
「う・・・説明下手ですみません・・・」
そう言い謙信の前で馬に乗る湖が縮こまる
「・・・何も責めてはいないだろう。得意不得意がある・・・」
「・・・はい」
「ははっ、佐助と天女ではずいぶん性格も違うが、一体どんなつながりだったんだ?」
謙信と湖の会話に、信玄が入ってくるが今度は佐助が押し黙った
「・・・あれ?なんだっけ・・・?」
湖は、佐助に振り向くと、一緒に謙信まで見てくる
「あ、ご安心を。俺と湖さんは、友人以外の何でもありませんから」
謙信の眉がピクリと上がるのを佐助はしっかり見ていた
なので、どんなつながりかではなく、どんな関係かをすぐに答えた
「うん。それは、覚えてる。佐助くんは、大事な友人よね」
「あぁ」
それには気づかず湖は、佐助にニコリと返す
結局、春日山城に入るまでに湖が思い出したのは、鈴の事だけだった