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【イケメン戦国】私と猫と

第29章 桜の咲く頃 五幕(一五歳)


「ーーー陣営を叩く精鋭は、三ツ者を中心に編成する。忍びなら、夜目もきき兵とは違い目立たずに接近できる。ゆき、これを頼む」
 
信玄がさらさらと指示書を書き、それを幸村に渡すと
幸村は即座に席を立った

「北条の手練れがどのくらい居るかが問題だが、所詮寄り集まりだろう…支持が通っているとも、あいつが北条の奴らと手を組むとも考えられないからな…氏康自らとなれば別だが、今動いているのは今川に叩かれた一部だからな。慎重なあいつは手を付けないだろう」
「今川か…義元は今はおとなしくしているらしいな。あいつは今どこにいる」
「義元なら領地からふらっと出たとは聞いているが、その後はわからんな」

信玄、謙信の会話を聞きながら
傍で白粉が懐から湖の飾り紐を出すと

「…某が…」

そう言い兼続が白粉から飾り紐を取ると
その背に回って白粉の髪に手を伸ばす
妖の力を抑えている白粉の髪は、湖より色味の薄い茶色

「絹の…絹のようですな…」

両耳の上をなぞる様に髪をすくい、湖と同様の位置にまとめると飾り紐で縛りだす

「…どうか無理はされません…ように…」
「わかっている。大丈夫だ」

その様子を光秀は横目で見ていた

「–––やれやれ。小僧を取り戻しに、この面子だ。何も心配する必要ないだろう」
「明智 光秀、湖の事を頼む」

髪を結った白粉は、光秀に頭を下げた

「安心しろ。わかっている」

暗い部屋の中、蝋灯りで照らされ微笑む白粉の姿は湖によく似ていた

(顔は違う…だが、ふと見せる笑みは以前の湖によく似ているものがある…)

「白粉、兼続、お前たちも聞け」

謙信に呼ばれ、光秀とは逆方向を向いた二人は
信玄、謙信と手立てを確認していた
そして、一刻もしないうちに5人は城を出ていった




佐助は膝で丸まって寝る鈴の背を撫でていた

(朝まで…8時間…少数精鋭で顕如の陣営を夜襲…顕如は、この土地に不慣れなはずだ。地の利はこちらにある…大丈夫だ…)

先程、手紙を渡し帰ってきた幸村に話を聞き
「そうか」と短い返事をした佐助だったが、顕如の動きは不確かで読めない所がある

(行きたいところではあるけど…)

「そいつ、起きなきゃいいけどな…」

部屋の外から声をかけたのは幸村だ
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