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【イケメン戦国】私と猫と

第29章 桜の咲く頃 五幕(一五歳)


「あいつの狙いは湖を連れ出す事だろうが、そう見え透いた魂胆に乗る必要はない。だが、無関係な子どもをそのままにすることは出来ん」

秀吉の答えは予想通り
このお人好しな武将はたとえ他国の子どもでも気にかけるだろうと思っていた
ふっと口角があがる白粉に謙信が問いかける

「…何かするつもりか」

白粉は少し前を置き口を開く

「今の私をどう思う?」
「…どうとは?」

兼続がよくよく白粉を見れば、
着ている着物は湖のものだ

「…おとりか…闇の中では良い策だな…猫の体型も以前と変わり、髪の色味も似ている。遠目で見れば、湖に見間違いてもおかしくないな」
「なぁ?!」

光秀の言葉に、兼続が一度そちらを睨み
再度白粉の方を向く
確かにその言葉通りだ

「組み紐飾りをつければ、後ろ姿は間違いなく湖に見えるな…」

秀吉も感心したように声をだしたが、

「勝手なことはするなと、以前も言ったな」

謙信は眉を潜め

「白粉、お前は今は人と同じだ。妖のようなことは出来ない。わかっているのか?」

信玄も同様の
賛成できないという表現で言葉を返した

「だが、早期に喜之助を取り戻してやれるだろう。湖は大事な友の為なら、此処だって抜け出していく子だ。恐らく相手も知っているのだろう?なら、その無茶ぶりのままに湖が動くよう見せかければ、所詮僧侶の集まり…少々知恵があっても、こちらほど周到には策を持てないだろう」
「…だがな」
「信玄、湖の耳に入れば、あの子は何をしでかすか…予想がつくだろう?耳に入れる前に、どうにかしておきたい」

湖の行動
今までも突拍子もない行動で周りを心配させ続けた
予想なんて誰でもできる

「…早々に片づけるか」
「し、しかしっ、謙信様!!」
「兼続。大丈夫だ、この身は人と変わりない…理解して動ける。それに、いざとなれば私は妖の力を使える。問題ない」

以前に比べて随分と柔らかい笑みを浮かべるようになった白粉は、湖と似ていると誰もが思った

「時間もない。すぐに出た方がいいだろう?」
「…無理は、しないと約束をしてくだされ」
「では、無理しなくていいよう…皆によろしく頼もう。湖を泣かすわけにはいかないからな」

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