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【イケメン戦国】私と猫と

第29章 桜の咲く頃 五幕(一五歳)


兼続は急ぎ少し背を丸め、その頭を白粉の方に出した
白粉が指を差し出せば、ひょこっとその指に乗ったツグミ

クシャリと、紙がほどける音がし
ツグミは何事もなかったように部屋の外へと飛んでいってしまう

「…で、なんだって?」

白粉の手紙を覗くように信玄が来れば、白粉は開いた手紙を信玄に手渡す

「どれどれ…『お前が人として腹を括ればわかる変化がある。妖(あやかし)ではない人として年相応の姿になる。存分に今を楽しめ』…か。で、その姿って事は…」
「別に、腹をくくったわけではない…だが、諦めただけだ。今の私は無力だと」

はぁと、ため息をこぼす白粉
その姿は、彼らには幼く見え

「お前ら、絶対二人だけで彷徨くなよ」
「それには同意する。この城の奴らにも周知した方が良いだろうな」
「はっ…周知…さようでございますな…くっ、其方に言われずとも、即刻場内に・・」

幸村が白粉と認識し、その姿をまじまじと見て心配する声をかけた
それを機に、秀吉、兼続

「「なんで?(なぜだ?)」」

同じ返答にそろって傾く首
さらりと、その髪が肩から落ちれば
湖からはお馴染みに甘い花の香りが、白粉からはそれとは少し異なった凛とした花の香りがするのだ

「これは、キケン」

佐助は、さっと懐からいつかのイエローカードを出す

「お前はまだそれを持っていたのか…あぁ、それより…俺は一度に二人も娘を持つ父になるのかぁ…なんだか、一気に年老いた気分だ」
「俺にも「養子」は居る。別に歳が変わるわけではない」

信玄のこぼした言葉に、謙信が返す
確かに謙信には歳も変わらぬ義理息子(景勝(かげかつ))が居るのだ
この時代、不思議な事ではない

「まぁ、そうか…そうだな」
「そうだ」

だが、嫁に出すとなれば気持ちが違う

(「白粉は、早々に兼続に…湖は、まだまだ出す気はないが…」)

佐助は密かに、信玄の様子を見ながらアテレコを楽しんでいた

(うんうん。信玄様なら心配しそうなことだな…)

「佐助、お前…なにニヤニヤしてるんだ?」
「ニヤニヤしてたか?」
「いや、表情は出てないけどな…わかるぞ。なんとなく」
「さすがは、マブダチだな。幸村」
「だから、なんなんだ。そのまぶだちって」
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