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【イケメン戦国】私と猫と

第29章 桜の咲く頃 五幕(一五歳)


近くに立った湖との身長の違いはあるものの
ちょっと前まで湖の旋毛が見えたはずが見えない高さに

「たしかに…若返って…おられます」

年は20代半ばほどだろうか…
今までより10歳ほど見た目が幼くなっているように見える
シャープだった頬がいくぶんか丸みをおび、頬の血色も桃色が浮かぶ
兼続は、白粉のそばに立っていた
自分と変わらなかった身長が、拳一個ほど低くなっている
女性にしては長身だが、白粉の見返してくる目線が今までと違って…

(っ、なんでございましょう…これは…っ)

「ほぅ…確かに、湖の姉で通るな…」
「髪の色も…少し薄茶がかってないか?元から瞳は似たような色だしな…」

光秀は、感心したような表情で顎に手を添え
秀吉は、未だ驚きの表情のまま湖と白粉を比べた

「髪…?」

白粉は、秀吉の指摘に自分の髪を一房手に取れば
真っ白の白髪だった髪が、今は湖より薄い茶色と言った方が良い色に変わっている
二人並べば…

「羞月閉花(しゅうげつへいか)、羞花閉月(しゅうかへいげつ)…どちらも同じか。白粉さん、ずいぶん幼くなりましたね。見た目、自分と同年代くらいです」

開かれた襖から姿を現したのは佐助だ

「そう、か…」

湖を横に、兼続を前にした状態のまま顔だけ佐助の方を向き答えた白粉
その佐助の後ろには信玄と謙信の姿も見え

「おいおい…俺は、娘を二人引き取ることになるのか?」

と驚く信玄に

「あの土地神の仕業か…」

と、謙信も白粉の変化に気づく
そして、遅れて入ってきた幸村が

「…だ、誰だ?!」

と、白粉と湖を見て目を丸くした
そこに小さなツグミが、いつぞのように足に手紙をつけ飛んでくれば兼続の頭上に乗ったのだ

「な、なぜ、そこに降りるのですっ」

まるで揶揄うように、ちょこんと乗ったツグミは
この部屋の人数に臆することもなく、のんきに鳴き声を出すのだ
「さっさと外してくれ」とでも言うように
その様子に、目の前の白粉がため息をこぼし

「兼続、少ししゃがめ」

と、兼続の袖を引く
今までならば、手が届く位置
自分の身長が低くなったことは、彼らの視線でも十分実感しているところだったが
頼まねば手すら届かないとなると
眉間に皺を寄せ、明らかに不機嫌になる白粉
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