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【イケメン戦国】私と猫と

第28章 桜の咲く頃  四幕(十二歳)


「興味は理解する…が、場を考えろ」

はぁと、呆れ顔をしため息をついた白粉

「…じゃあ、「はじめては」かかさまに相談するって約束する」
(…だから、ここに居てね)

怒られていた湖
はじめは縮こまっている様子をみせるも、今はにっこりと笑っている
そんな様子に、白粉は呆れた顔を隠さずに今一度額を叩いた

「かかさまの言うとおりだぞー湖、俺の娘になるなら「はじめて」は俺にも報告しような」
「ととさまも?」
「そうだぞ。ととさまも、湖の「はじめて」は全部聞いておく義務がある」

「お、おい、あんたは…」「信玄様…」幸村と佐助の思いは似たような物だ
だいぶ表情は異なるが
幸村は若干赤く頬を染め、佐助はじとりと目を細め
((この人は…))
と、湖に同情の念を持つのだ

「先ほどの話は、後日詳しく聞かせろ」

黙っていた謙信がそういえば、領地の話はここまでとなった
この場では
登竜桜はそんな様子に、ようやく険しい顔を少し緩め…

『さて、湖…』
「ん?なぁに?桜さま」
『歌え。祝いの場にふさわしい歌をな』

未だ謙信に抱えられていた湖はきょとんと目とした表情を見せた後
おかしそうに、ふふっと笑い謙信の元から立ち上がって、赤い敷物の外へと出た

「じゃあ、桜さま…音を聞かせてね?」
(自分のお祝いを自分でするなんて…なんだか変な感じ…でも、嬉しい…)

くるりと体をみんなの方へ向けると、登竜桜の返答がすぐに聞こえた

『あぁ。好きに歌え』

こくりと酒を飲む登竜桜の姿を見て、湖はその目を閉じた

(私の…大好きな人たちに)

ピアノの単音弾き
ポロン、ポロリンと、かわいらしい音が聞こえ始めた
その音は、彼らには聞き覚えのない変わった音だ

「ほぅ」

音色に上機嫌な表情を浮かべたのは信長に光秀
前回の事もあり、さほど驚かない者もいるが、誰もがこの音に耳を傾けた

歌い始める為に軽く息を吸い込めば、湖の瞳が薄く開く
いつもより緑色が濃く見え、その姿が景色に
溶け込むように、その存在が同化しそうになる

やがて、音色が重なってくれば…
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