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【イケメン戦国】私と猫と

第7章 視察 (裏:謙信、政宗、家康)


急に引かれた湖は困惑しながら、政宗を見上げる

「前に鈴から戻った際の事を注意したのは覚えてるか?」
「え、…うん。あれから気をつけてるよ…私なりに…」
「確かにな…ただ、お前にはあれだけでは注意が足りなかったようだ」
「え…?」

政宗は、今日起こったことを思い返す


誰かは解ら無かったが、湖を狙っていた
だから視察を放って見張っていた
だが、あの際…仕立屋の披露に呼ばれた際は、湖も気になったが大名の硝煙の匂いが気になって動けなかった
まさか、上杉謙信が来ているとは思わなかった
あの時、上杉と湖に何があったのか
なんで湖が鈴の姿で現れ、あの木箱を持ち出したのか
あの時、鈴の姿の湖を捕まえられれば爆発に巻き込まれそうにならなかった
なんで自分が助けにいけなかったのか
そして、無性に腹の奥が熱くなった…湖から謙信への口づけ…


湖の性分は、だいぶ理解してきたと思う
人に情を持ちやすく、世話焼き、臆病なくせに正義感があって、時に意地っ張り
ころころ変わる表情が可愛く、この香りは癖になる…
自分の中に閉じ込めておきたい…そう思うことがしばしばあった

だが、今日解った
これは執着だ…
いつの間にか、この目の前の女に自分は執着している



「湖…」
「…うん?」

目の前の湖は緊張の面持ちで、腕の中にいる

「…危険な真似はするな…」

池に木箱と一緒に落ちていく猫の姿を見た時、時が止っているようだった
戦場でだってそんな感覚は希だ
自分をすり抜けていった小さな体に手を伸ばすが届かない
失う感覚が走った
あの時、謙信の手が伸びたとき…安堵した…
湖が生きていて…無傷で、安堵した
同時に、腹が立った
自分に
どんな場面であろうが、助けたいやつは自分で助けたい
湖の危険な場には、誰よりも早くたどり着いて助けたい
湖を危険な目に遭わせたくない
ただのんきに笑っていて欲しい

「お前は、のんきに笑ってればいい…」

そう悲しそうに笑いながら、湖の頬をかする政宗の指がかすかに触れている事に、湖は気づいた
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