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【イケメン戦国】私と猫と

第28章 桜の咲く頃  四幕(十二歳)


佐助に答えを求めれば、その時は佐助と会っていないというのだ

「お前は一人だった…突然現われた」

答えを探すように佐助を見ていれば、信長の声が聞こえてくる

(じゃあ、その場に家族や知り合いはいなかったという事だよね…)

自分の事なのに、まるで他人事だ
ふーんと、なにやら思案している様子の湖を見て、家康はため息を一つこぼすと

「これって、面倒じゃないの…さっさと記憶を戻したらどうなの」

話に介入をする

「そうですね…信玄様と湖様が本当にご縁を結ぶのであれば、例えそれが今の湖様の希望だったとしても、以前の記憶が戻る前ではこちらも納得できません」
「記憶を取り戻した湖の考えを聞くといいだろう」

思案するように、顎に手を当てる三成に
それに賛同した光秀は、にやりと笑う

「そいつは渡さない。こちらに返して貰うぞ」
「湖は、安土の仲間だ。いずれは、此方に戻る身だ」

政宗と秀吉は、眉間に皺を寄せ信玄と関係を結ぶことに否定を見せた

「……湖の意思に任せる。俺は、それで支障ないが…もし娘となるのなら、以前の記憶もあった方が良いだろう…」
「確かに、後からごちゃごちゃするようなら、今から記憶を戻した方が良いと思います」

向かい合った
湖と同じ敷物に座って居る謙信と幸村だ

「俺も、それには同意する」

隣に座っている信玄も、ひとつ頷き登竜桜を見る
登竜桜は、盃をくいっと飲み干すと…

『記憶を戻せと…な…そうだな、もう十五になるか。戻しても支障はないか…なぁ、白粉?』
「……」

そう意見を振られた白粉は、今登竜桜の横に座って居た
直ぐには返答をしない白粉は、薄い唇を噛むと誰にも表情を見せないように下を向く

「かかさま?」

それにすぐに反応したのは、湖だ
湖の声に、小さな反応を見せた後
白粉は、登竜桜の方へ身体を向け顔を上げた
そして、ゆっくりと流れるような動作で、手を突き、頭を下げ声を発したのだ

「それでは、私の役目は此処まででお願い申し上げます」

その意味は、この場に居る者なら全員知っている
一人を覗いて

「湖は、もう小さな子どもではございません…」
「…かかさま?」
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