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【イケメン戦国】私と猫と

第28章 桜の咲く頃  四幕(十二歳)


『さてさて。我の供物は十分にあるのだろうな?』

荷台がほどかれれば、山ほどある酒樽に果物、干物

『…いいだろう。この人数、今回だけ受け入れてやろう』

フッと口角を上げた機嫌の良さそうな登竜桜に、白粉も安心をした

『お前は…しょうも無い娘だ』

トンと、白粉の額を叩けば
湖に抱えられていた白猫は、さっと腕から飛び降り人の姿へと変わった

「…っはぁ…やっと、気持ち悪さが抜けた…」

よっぽど嫌だったのだろう
白粉は、大きなため息をつくのだ

『で。お前は…今度はいくつを望む?』
「俺は、もう元の年齢でお願いします。十分、少年ライフを楽しめました。ありがとうございます」

「その前に・・・悪いな、桜様。湖に確認をさせて欲しい」

信玄が入ってきたことで、登竜桜は佐助に向けられた手を下ろした
そして、その瞳を細めると・・・

『・・・湖、お前の口から弁解を聞こう』

と、今度は湖に顔を向ける
それはいつも向けられるにこやかなものとは異なり、湖の背筋もスクッと伸びた
その背を支えるように手を当てたのは信玄と白粉だ
ふぅっと、一息ついた湖は「はい」と返答をする

様子を伺っていた武将達も、遠巻きではあるが声が聞こえる範囲に近付いていた

「お守・・・ととさまに教えたのは、私。ととさまの本当の家族にしてってお願いしたのも私。約束を破ってごめんなさい・・・でも、誰かれ話はしていない。どうしても、ととさまには伝えないと・・・ととさまに離れて欲しくなかったの」
『・・・こちらに。お前の記憶を見せてみろ』
「はい」

二人に背を押されて登竜桜の元に向かえば、彼女は湖の額に手を当てしばらく無言になった
そして、その手が額から離れると

『・・・・・・お人好しなのか、無防備なのか・・・白粉はどう教育したつもりだ』
「私はとくに・・・湖の成長を見守っているだけのこと。教育というなら、主だっては兼続になります」
『まぁ、お前は元々そうだったな・・・』

その言葉に、秀吉を初めとして何人かが頷いた

『お前の考えている通りだ。あれは、それらの理由から禁じた。これからも禁ずる。良いな?』
「ととさまは・・・?」




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