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【イケメン戦国】私と猫と

第28章 桜の咲く頃  四幕(十二歳)


その佐助の馬から下りた白粉は、いつものように猫の姿で調子が悪そうだ
湖は、後ろを振り返って白粉の様子を見ると直ぐに戻って白粉を抱えた

「かかさま、平気?」
『…酔っただけだ。すぐに治る』 

あからさまに、具合の悪そうな白粉だが
湖への視線は優しいものだ

「お水、貰ってこようか?」
『支障ない。悪いが、城まで抱えて貰えるか?』
「うん。もちろん」

妖と湖との間柄は、もう誰の邪魔も出来ないほどしっかりと絆が出来ている
湖がゆっくりと歩くと、信玄もその隣に付き添った

「本当にお前は弱いなぁ」
『…馬に酔うだけだ』
「かかさまの唯一の弱点だねー」

(唯一は別だろうがな…)
信玄が苦笑しながらポンと頭を撫でれば、秀吉は複雑な思いで見守りながら自分もまた城内へと向かうのだった







飯山城内

広間へ迎えへば、そこには信長、光秀、佐助そして政頼が座っていた
佐助達は先ほど入ったようで、ちょうど腰を下ろしたところだった

「政頼…」

謙信の声に、びくりと背を縮ませる政頼は顔色が悪い

「大丈夫です。謙信様、高梨様は何処をどう変更したか存じておりませんから」
「…城主そっちのけで警備をいじるとは…ここの城主は何をしているんだ?」

佐助のフォローに、光秀の的を得た突っ込みに、高梨は頭を下げるしかない

「おいおい。佐助、一応城主の顔を立ててやれよ」
「はい。そう思って高梨様に説明したんですが、話始めたところで家臣の方に変わられたので、飯山城セキュリティシステム改善はそのまま進めた次第です」
「……政頼」

信玄の目も細められれば、政頼はもう身の置き場もないのだ

「おじーちゃん?おひさしぶり。顔色悪いよ?平気?」
『…湖、あまり近付くな』

ただそんな事をお構いなのが、湖だ
抱えている白粉が注意しても、聞こえてないようだ
政頼の側に寄ると、かがみ込んでその顔色を伺うのだ
そして頬に手を向けたときだ

ぐいっと、勢いよく腰を引かれると湖の身体は軽々と持ち上がった

「わっわ…っ」
『っ…』
「湖っ」

湖の視界には、強ばる幸村の表情が見えた
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