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【イケメン戦国】私と猫と

第28章 桜の咲く頃  四幕(十二歳)


二人して首を傾ける様に、信玄はため息をつき
幸村は頬を染め、佐助は「さすが親子」と関心している

「…よく解らないけど、わかった。ととさまと兄さま以外の男の人が居るときには話さない」
「是非含まない者に俺たちも含んでくれるとありがたい」
「俺はいいぞー。大いに相談にのるぞ」

チャッキ…と刀に触れる音がする

「信玄、貴様…あまりふざけるな、仮にもあれの親になるのだろう」
「心外だ。謙信、俺はふざけてなどいないさ。娘の悩みは解決せねばな」

ふっと笑う信玄は、いつになく不敵な顔をしている
そして謙信は、それを見てため息をついたのだった






そうして、とうとうその日がやってくる

「…お前、次いくつになるんだよ」

大好きな越後縮みの桃色の着物に、紺色の袴
そして風花の手綱を引いた湖の前に立っていたのは、喜之介だった

「喜之介、おはよ。どうしたの?朝、早いね」

小首を傾げつつ喜之介を見る湖
その身長は、湖の方が頭一個分は高いだろうか

「いくつになるって聞いたんだよっ」

フンと、鼻息荒い喜之介に
わけがわからないといった表情を浮かべながら「十五歳」だと応えれば、「あっそ」とそっぽを向かれる
だが、喜之介はその場から動かないのだ

「…喜之介?」
「お前…帰ってきたら、嫁に行くのか?」
「嫁…?なんで、行かないよ」
「…姉ちゃんが、十五で嫁に行ったから」
「喜之介、お姉ちゃん居るんだね?そっか、おめでとー。でも、湖は行かないよ。ここに居る」
「…ならいい…んっ!」

ぐいっと手渡されたのは、透明な小石だった

「わぁ…っすごい。こんなに綺麗な石、初めて見たっ!喜之介が見つけたの!?」
「川で…」
「すごーい。帰ってきたら、一緒に行きたい!湖…あ、私も探せるかな?」
「……やる」
「…え?」
「やるって…」

そう言うと、喜之介は湖の前から退き
行ってこいとばかりに道を空けた

「喜之介?」
「川にも連れってやる…兼続様が良いって言えば。それは、お祝いだ…聞いた。裳着をするって…」
「…お祝い…もらっていいの?」
「やるって言った…さっさと、行け」
「…ありがとー喜之介…嬉しい。私も、今度お礼するね」
「期待しないで待ってってやる」

ふふっと笑う姿を喜之介は

「おいっ…」
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