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【イケメン戦国】私と猫と

第28章 桜の咲く頃  四幕(十二歳)


あとから聞けば、女は愛されて更に美しくなると言うのだ
そして、それとなく夜伽(よとぎ)についても耳に入った


最近、耳に聞こえた話を思い出した湖

「わ、たし…湖っは、まだ・・こどもでいいっ」

夜伽がどんなものかはわからない
だが、彼女たちの様子から三成の「たぬき」の講義だと予想はついた
混乱、羞恥、様々な感情にカオス状態の湖
彼女が発した言葉に、周りにいた大人達は驚いた

信玄は、ほほぅ…とニヤリと笑いながら
「効果はあったようだな」

謙信は、無表情のままだ
だが、湖が何を思ってそれほど慌てているのかは察しがつく

幸村は、真っ赤になって
「あ、阿呆か!お前は、まだガキだ!!」

佐助は、無表情…を崩さす
「安心していい、兄として許可できない。湖さん」
抑揚のない声を出していた

パンパンッ!と、手を叩く音と共に、湖の姿が消えその場には着物が落ちた
白粉が、登竜桜のように強制的に湖を鈴に変えたのだ
落ちた着物から鈴を掘り出すと、何も言わずに着物も一緒に抱えて部屋を出て行く白粉

「おい、いまの」
「このくらい容易だ…湖は、我が娘。湖の同意無く何かをすれば、我の牙が向けられると思え」

妖気だだ漏れの妖が、スパンッと襖を閉めて歩き去るのだ
残った空気の痛いこと

「おぉ…白粉さん、釘を刺しにきましたね」

佐助はぱちぱちと手を叩いたのであった

「殿、失礼致します…何か、ございましたか?白粉殿の気配が刺すように不機嫌そうでしたが…」

すれ違ったのだろう兼続が、様子を見にやってきた
そして部屋を見ると

「殿、今川様はどうされましたか?」
「出て行った」
「…は?出て…と、帰られたのでございますか?供を置いてでございますか?!」

兼続の後ろにいた今川の家臣が二人が慌て、頭を下げると即座に走り去った

「あいつ、絶対忘れてるな」
「幸村もそう思うか…俺も同じく。義元さんは、伴った家臣の事はもう頭に無いと思う」

可哀想に…そんな目線が走り去った二人に向けられていた

「して、白粉殿はどうして…」
「んー。あの様子じゃ夕餉も部屋から出ないだろうから、兼続頼んだな。事情は、後でな」

信玄は眉を下げて兼続の肩に手を置いた
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